月に寝転んで (ページ10)

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「阿部ちゃんには、ツナとシャチのご飯とかおやつ、おもちゃを買ってきてもらったり、あとトイレのお掃除、定期検診のときの付き添いとか、そういうのをやってもらいたい。
毎日は来なくていいよ。俺が連絡した日に来てくれれば大丈夫。
絶対に休みたい日がある場合は、月の初めとか、まあいつでも言ってくれて構わないから。
俺の手が回らなかったら、掃除とかも頼んじゃうかも。」

「うん。わかったよ。」

阿部ちゃんは俺が言ったことを、せっせとメモに起こしてた。猫を飼ったことはないらしいけど、世話の仕方は一通り覚えてきたらしい。真面目だ。

「今日はキャットタワーを組み立てをお願いしてもいいかな？」
「早速お仕事だね。」
「うん、お願いします！」

ネットで衝動買いしたはいいけど、1人では組み立てなんてとてもできないから放置されたままになっていたキャットタワー。

こういう時、誰かいると便利だなー。
阿部ちゃんは説明書を読んでモノを組み立てるのは得意らしく、手際よく作業を進めている。

「あべちゃん、コーヒーと、お茶どっちがいい？」

「ん〜、コーヒーお願いします。」

「はいよ。」

阿部ちゃんが作業してくれている間に、俺はコーヒーを淹れる。俺は苦いの嫌いだから、飲まないけど。
というか、人前で食べたり飲んだりするのは嫌。

手が動きづらいから、どうしても不恰好な食べ方になるしね。できないのは仕方ないって分かってるけど、どこかで諦められない自分もいる。
認めて、諦められたら、どれだけ楽か。