月に寝転んで (ページ22)

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次の日、ミケの葬儀を済ませた後に、俺たちは病院へと向かった。向かう先は大介のいるICUで、一般病棟とは違う重々しい雰囲気が部屋いっぱいに広がっていた。

ベッドと機械が所狭しと並べられていて、
大介はちょうど真ん中あたりに流されていた。

ベッドで眠る大介は、包帯とチューブで埋もれそうなほどで、直射日光をモロに浴びた影響か、顔や手が爛れて痛々しそうだった。

「大介、聞こえる？」

母親が声をかけると、大介は薄らと目を開く。
パチパチと何度か瞬きをして、
「…みけ」
と掠れた声を出した。

「み、けは。へーき？」

俺たちは何もいえなかった。

「ね、みけ、みけ、生きてる、よね」

大介の息が苦しそうに跳ね上がる。

「みけ、しんで、たら、おれ、も」

その言葉の続きを聞きたくなくて、俺は思わず声を出す。

「ミケ、生きてた！今家にいる。
帰ったら家にいたよ。大丈夫。大丈夫だよ。

大丈夫だから、今は休めよ。

早く帰ってこい。
お前が好きなアニメ、ちゃんと録画しておくから。」

捲し立てるようにそう言えば、大介は安心したのか目を閉じて、そのまま眠りについてしまった。
俺は嘘をついてしまった罪悪感と、大介に絶望を味合わせなくて済んだ解放感とで、足が震えそうなほどだった。

「ごめん、嘘ついて。
でも、ああでも言わないと…」

父と母は全てを分かってくれていて、黙って俺の肩を抱いてくれた。
俺はただ、大介に生きていて欲しかった。