月に寝転んで (ページ19)

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太陽と月の詩（青）ページ19

高校生の頃は、大介と俺は割と仲が良かった。
一緒に遊びに行ったり、夜遅くまで話したりして。

小さい頃は、大介が外に出られないのは病気のせいだって知らなかったから、「一緒に外で遊びたい」と無理を言って大介や両親を困らせていたけど。

無理に外に連れ出そうとしたら母にこっぴどく叱られて、大介に理不尽にぶつかったこともある。
「夜ならあそべるよ。」
アイツは悪戯っぽく笑って、夜にコッソリ家を抜け出す計画を立ててくれた。そして、2人で月を見に行った。
遠い昔のことなのに、その夜のことは今でも鮮明に覚えている。

アイツはいつでも明るくて、強くて、俺の情けない一面を平気な顔で受け止めていてくれた。
そういうところを、すごく尊敬していた。

太陽みたいな大介なら、きっと病気にだって負けないはずだと、そう思っていた。心の底から。

それでも時は残酷で、病魔は静かにアイツの身体を蝕んでいく。

身体の麻痺も進んでいって、急に転んだり、物を落としたりすることが増えていった。
日光への制限も一層厳しくなって、昼間の外出も厳しく制限されるようになった。

出かけるのは日が暮れてから。
学校は通信制。
家と病院を往復するばかりの毎日で、陽気だった大介は段々と塞ぎがちになっていった。

そんな大介を心配した両親は、知り合いのツテを辿って保護猫を引き取ってきた。
動物好きな大介の喜び様は半端では無く、これまでの暗さが嘘のように、みるみる明るさを取り戻していった。

「ミケ！」

三毛猫だからミケ、なんて単純な理由で決めた名前を、それはそれは嬉しそうに呼んでいた。
両親と俺は、その溺愛っぷりに呆れつつ、大介を元気付けてくれるミケに感謝するばかりだった。