月に寝転んで (ページ15)

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「わかった。
シャチのこと、俺が絶対に見つける。
だから、大介はここで待っててあげて。」

大介は真っ赤な目をしながら、自分を落ち着かせるように数回頷いた。
怪我が心配だったけれど、一刻も早くシャチを見つけた方が彼のメンタルも落ち着くだろうから、俺は急いで部屋を飛び出た。

一応、ふっかにはメッセージを入れておく。
【シャチが逃げ出して、探してる途中。
大介は家にいるけど、怪我してるみたい。】

既読はすぐについた。

【わかった。大介はまかせて。】

短いけれど、何よりも安心できるメッセージ。
スマホをポケットにしまって、改めてシャチの姿を探す。

大介の言うとおり、臆病な子だから遠くには行っていないはず。グルグルとマンションの周りを探すけれど、シャチの姿は見えないまま。

「しゃちー！」

名前を呼ぶけれど返事があるわけもなく、焦りだけが募っていく。
そんな時、大介が以前言っていた言葉が頭を過る。

__シャチはね、暗くて狭いところが好きなんだよ。

もし俺がシャチで、突然外に飛び出してしまったら、身を隠せる狭いところ飛び込むかもしれない！
階段を駆け上がって、大介の部屋があるフロアをよく探す。
すると、下に隙間の空いた小さなロッカーのようなものが、非常階段の端にあるのを見つけた。

祈るような気持ちで扉を開けると、「ニャー」と小さな鳴き声が聞こえる。
「…シャチ！」
逃すまいとフワフワの身体を抱き締めると、シャチは抵抗せずに腕の中に収まってくれた。
安心と喜びで身体から力が抜けそうになる。

「はやくお兄ちゃんに顔見せてあげようね。」

「にゃ」

返事をするみたいにシャチが声を上げた。