【wrwrd】ここが異世界という説明は受けました。 (ページ12)

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｢なんか見覚えあるような気がしてきた｣ページ12

｢あ、おはようございます先輩｣
｢あー、うん。おはよう｣

くわり、と出そうになった欠伸を噛み殺して声の主を見た。今朝(と言うには早すぎる時間だったが)寝ていた茶髪の男である。こちらを見て挨拶した彼はすぐ中断していた目の前の薬品棚の整理を行っている。

施術室の持ち主…っていう雰囲気はない。勝手ながら医者とか科学者は白衣を着ていると思っている。ならこの人は手伝いかな？？でも初対面であろう俺を先輩呼びとはどういうことだろうか？

先輩と言われたことは学校の部活以外では特に無かったハズだ。つまりこいつは元･後輩という訳なのだろうが約10年前の出来事なんぞ覚えとらんわ。

比較的特徴のある声をしているのでわんちゃん声で思い出せるかと思ったが喉元まで来ているのに出てこない。人間、最初に忘れるものは声だと誰かが言ってたが本当にその通りである。声を忘れてしまったら当てはまる人がいない。

後ろ姿をじーっと見ながら記憶を頼りに今までに出会った人物を当て嵌める。すると勢いよくこちらを振り向いて…

｢え？起きてるんすか｣
｢さっき自分でおはようございます言うたやん｣

…こいつ天然か？