｢…汚い数字並びましたね｣ ページ10
昨日も今日もまた同じことを言って会話が始まった。｢今出社したところか？｣なんて先輩が言って、それに返す言葉で皮肉を混ぜながら｢そういう先輩はまだ仕事終わらなくて帰れないんすか｣って返してぽんぽん会話を進めながら上司の悪口言い合って今度食べに行く約束をしてまた、明日もまた似たような会話が始まると思ってた。
翌日出社したら、机の上で倒れていた先輩がいた。寝落ちてしまったのかと声をかけても反応はなかった。ピクリとも動かない先輩は呼吸の音もしなかった。人肌より冷たくなっていた先輩は、その時には既に心臓の機能を失っていた。
死因は心不全。ここしばらくずっと残業ばかりしていた先輩は呆気なくこの世から去ったのだ。もしあの時無理にでも家に返しておけば先輩は死なずにすんだかもしれない。と後悔ばかりが降り積もる。
医者は｢君のせいではない｣と慰めてくれている。が、先輩が約束を破ったことに殺意を抱いた。無能な上司に激怒し、助けなかった周りの人を恨み、何もしなかった自分を呪った。
そんなことしても先輩は戻ってこない。
…………
｢おめでとうございま〜す。あなたは記念すべき1,145,141,919,810人目の死者として転生権が送られま〜す。いえ〜い。ドンドンパフパフ〜｣
｢…は？｣
｢あっれれ〜？もしかして説明とか一切されてない感じ〜？けどけど〜最近現世の漫画とか小説でよくある設定だからわかると思うんだけど〜…ん〜、まあ、いっか★｣
｢良くねぇよ説明しやがれクソやろう｣
｢え、やだ見た目に反してすっごく口悪いんですけどこの子…もしかしてギャップ萌え狙い〜？そんな流行りとうの昔に過ぎたっちゅーの。キャハハ♪そ･れ･に〜？ものを頼む時は言葉遣いに注意しようね〜？｣
｢けどいいよ。君の知りたいこと教えてあげる｣
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作者名：夢見るサーモン | 作成日時：2020年3月7日 21時
