｢マント重っ｣ ページ36
ロボロのナビ通り、スルスルと森の中を移動していると倒れている部下を見つけ出した。見たところ怪我はなく、ただ単に気絶させただけのようだ。ホッと一息ついて周囲を見渡した。
すると1箇所だけ赤く染った木の葉をみつけ、それに近づくとまだ乾いていないのかて手にそれは吸い付いた。独特の鉄臭さを纏うそれは道標となっている。
『どしたのトントン…あ、血やん』
｢まだ乾き切ってない…今ならまだ間に合う。｣
『え、行くの？』
｢お礼はしっかりせんとなぁ｣
出来るだけ殺気を立たせず、音を殺して早く進む。だんだんと草をかきわける音が近づいていく
ーーいた。
ボロボロのマントは赤い色を染み込ませ、じっとりしている。絞れば液体が出てきそうだ。
奇襲を仕掛けるか、どうするかと悩んでいるとﾋｭﾝｯと何かが横切った。あと少しズレてたらやばかった。
｢ﾁｯ…外したか｣
｢いきなりとは随分物騒ですねぇ…｣
｢後をつけてきたやつに言われたくないね｣
男の顔はガスマスクにおおわれ伺えないが、声音からはとてもイラついていることが分かる。
｢所でお前は何者なん？｣
｢普通の旅人やで｣
｢普通の旅人ならいきなりナイフ投げへんしそんな血まみれにはなりませんて｣
まあ、そうだよなぁ…と溜息をつきながら男は鞘に手を当てる。抜刀準備は万端だ。
｢殺る気か？｣
｢最初につけてきた奴のように眠ってもらうだけや｣
｢はえー…こっわ｣
するり、と鞘から剣を取りだして構えた。
『トントン、援軍呼ぼうか？』
｢頼んます｣
男は一瞬にして間を詰めた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢見るサーモン | 作成日時：2020年3月7日 21時
