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Eight steps ページ9

その日の深夜。ルーマニアのビエルタンにある自宅の寝室で魔法大臣__アドリアン・イプシラン

ティは寛いでいた。久しぶりに孫達と会い、年甲斐もなくはしゃいでしまったせいか、あちこちの

関節が動く度にキシキシと鳴る。それでも不快ではないのは、矢張り孫達が可愛いためか。

扉が叩かれた。妻かと思い、どうした、と訊くと

「イプシランティ大臣、お話が。」

妻とは違う、別の声がした。聞き覚えがある。

「おぉおぉ、確か、カークランド君だったかね?」

「はい。」

「急を要する事か?」

「えぇ、かなり。」

「そうか、では入りたまえ。」

失礼します、と断り入って来たのはイライアスだけではなかった。見覚えのない若者達までぞろぞ

ろと入る。動揺して彼等を凝視していると、一際背の高い、高慢そうな青年がアドリアンの前に進

み出た。

「大臣、俺はイライアスの息子のスコットです。不審者ではありません。」

「あぁ、君は確か、今年からホグワーツに就任するという・・・」

名前だけは菊から聞いていた。彼とアドリアンは、よく一緒にお茶を飲んだりしているのだ。

「同じく、ヘンリーです。」

「トーマスです。」

「アーサーです。」

「イライアスの妻のリリーです。」

「ほ!君があのハリー・ポッターの娘か。随分と美しいのう。」

「有難う御座います。」

「ところで、その他の若者達は?」

「俺の友達です。」

金髪のアーサーが答えた。ふと、彼の眉毛に目が向き、吹き出しそうになったが咳をして誤魔化

す。見なかった事にしよう。

「ふ〜。それで、かなり急を要する話とは何だい?」

手で近くの椅子を差すと、イライアスはそこに座る。そして肘を膝につき、細長い指を顔の前で絡

める。いささか行儀が悪いが、それを指摘したら殺されそうだと思うほど眼光は鋭い。昔、小説の

挿絵で見たシャーロック・ホームズの様だ、とアドリアンは思った。

「ヴァシーリー・ブラギンスキはご存知ですね。」

「勿論だ。」

「では、彼が一人の少女と二人の男性を拉致した事は?」

「は?」

「彼がヴォルデモート的思想の持主である事も?」

「・・・何を言うておるのじゃ・・・」

思わぬ事態に、中が白くなりかけている頭を振り、アドリアンはぬるくなったココアを飲む。

「全て事実です。ですから貴方直々に、彼を逮捕する許可を我々に出してほしいのです。」

「待て待て、もちっと詳しく__」

「そんな暇はない!!」

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Freiheit@Ernst - 完結おめでとうございます!すごく面白かったです。水滸伝私も大好きなので楽しみにしてます!ウズウズ (2014年9月20日 15時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - レリゴー!さん» 喜んでいただけて良かったです。こちらこそリクエストありがとうございます! (2014年8月26日 15時) (携帯から) (レス) id: 40a6f8a3a7 (このIDを非表示/違反報告)
レリゴー! - カオリさん、イラスト拝見しました!皆かわいくて、これであれこれ想像するともうニヨニヨが止まらない・・・!!ありがとうございました! (2014年8月26日 9時) (レス) id: 9c6a128fd2 (このIDを非表示/違反報告)
Freiheit@Ernst - 続編おめでとうございます!新キャラ続出でとても楽しみです! (2014年8月24日 22時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 続編おめでとうございます!あと、イラスト描けましたよ♪ (2014年8月24日 20時) (レス) id: 21e1ae6953 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レリゴー! | 作成日時:2014年8月23日 11時

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