魔法学園ヘタリア〜Walk to my friend〜

Seven steps ページ8

「＿＿＿で」

スコットが足を組直す。

「結局父上が折れたんですね。」

「昔っからそうだよね。」

「何だかんだで、うちってかかあ天下だよな。」

「うん、俺見てて実感したわ・・・」

息子達の容赦ない感想に父はうなだれる。その横ではアダルベルトが大笑いしながらイライアスの

背中を叩きまくっていた。他の面子は呆れを通り越して無表情でベルガモットティーを飲んでい

る。あの親分ですらいつもの笑顔と輝きが四割減少して見える。

「あなた、ウィレム君達が到着したみたいよ。」

と、一同のいる広間にリリーが入って来た。いつにも増して息子達の彼女を見る目には畏敬の念が

含まれている。

「こんばんは。夜分遅ぉになってすんまへんな。」

やたらでかい、いかにもオランダ人といった風体の青年が、パイプを咥えながら気だるげに言う。

「お兄ちゃん！もっと丁寧に言わな失礼やろ！ホンマすみません、こんな兄で。」

そんなウィレムのパイプを引き抜き、鞄に仕舞うのは可憐な美少女。

「んだよ折角のデートぶち切りやがってコンチクショーめ！」

「兄ちゃん初っ端から喧嘩売るのやめてよ〜！」

よく似た二人の兄弟のうち、大きい方が悪態をつく。それを宥めてるのが彼の弟だ。二人とも何故

か頭にくるんとしたアホ毛があり、向きが兄弟で逆になっている。二人の話では祖父譲りらしい。

「おい、フェリちゃん、ルッツは？」

ギルが心配そうな顔を隠さずに言う。

「ルッツはお父さんとお母さんの許可取ってから行くって言ってたけど・・・まだ来てないんだよ

ね？」

「おぉ、電話の一本も寄越さないしよ。ったく、兄不孝な弟だな。」

「ううん、携帯に何回も電話したって。」

「え、マジ？」

慌てて携帯を見るが、既に事切れていた。

「こいつが何をしたって言うんだあぁぁああぁあ！！おい、戻って来い！」

必死で携帯(not スマホ)をぺちぺち叩くが、復活するわけもない。

「只の充電切れでしょう・・・大袈裟な・・・」

そんなロディの呆れ果てた声も、今のギルには届かない。

「それで、結局大臣の家に行って事情説明して、ブラギンスキに命令してもらってアレックスさん

返してもらうんだね？」

フランシスが確認すると、リリーが頷く。

「そんなん他力本願やざ。」

ウィレムがぼそっと呟く。それでもリリーは

「一番確実で安全だもの。助けられれば過程なんてどうでもいいのよ。」

そう答える。これにはウィレムも黙るしかなかった。

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