魔法学園ヘタリア〜Walk to my friend〜

Eleven steps ページ13

アルはヘレンとマシューに付いて行きたがったか、かなりやつれていたので菊は押し留めた。

そうこうしている内に、イライアス達はブラギンスキ邸に到着。出て来た使用人は、令状を見ると

顔が青ざめ、大人しく主人のもとへ案内した。

「ヴァシーリー様、イライアス・カークランド様がお越しです。」

「そうか。どうぞ、お入り下さい。」

慇懃に言われ、部屋に入るなりスコットがヴァシーリーに令状を突き付けた。しかし、本人は全く

動じない。偽物だと高をくくっているのか、それとも観念しているのか。

「ヴァーネチカちゃん！」

と、部屋の奥でちぢこまっていたやたらと胸のでかい少女が、イヴァンに駆け寄る。そしてそのま

ま抱き合う二人。姉弟だと知っているAは少し涙ぐんだのだが、事情を知らない他の面々は唖

然としている。そんな若者達を無視して、イライアスはゆっくり、ヴァシーリーに近づく。

「ふん、ヴァーニャもヴェールカ(ウク姉)も、貴様側だったのか。」

「ヴェールカ嬢は知りませんが、まぁそうなのでしょう。それより、Mr . ブラギンスキ。首はち

ゃんと洗えていますか？」

「貴様のその態度も、この状況では慇懃無礼にしか思えんな。ほれ。」

「インカーセラス 縛れ。」

目の前に差し出された両手に、縄をかけるイライアス。人質達の居場所へはヴェールカが案内し、

ナターリヤも遂に、兄と再会できたのだった。ナターリヤ、後にこの兄が好き過ぎてヤンデレ気味

になってしまうのだが、それはまだ大分後の話。王耀は腰をさすっているが、大事は無さそうだ。

「ルッツ！！お前何で！」

「兄さん・・・」

あと何故か、ルートヴィッヒまで捕まっていた。話を聞けば、来る途中で運悪くこの屋敷の前を通

ってしまったという。道が分からなかったので警備員に訊いたら、有無を言わさず捕らえられたら

しい。

そして。

「パパ！！」

「アレックス！！」

「マシュー！ネリー(ヘレンの愛称)！アル！・・・はいないのか・・・・・・」

「大丈夫、カークランドの屋敷で待ってるよ。」

「そうか・・・無事でよかったよ。」

その横では、フランシスが伸びと欠伸をした。

「あ〜あ、お兄さん疲れた〜。Aちゃんは？」

「私も。残りの休暇はゆっくりしたいわ。」

「なら、お兄さんと一緒にイェールのビーチで遊ばない？」

「おい髭ワイン野郎！てめぇ目がいやらしいぞ！」

当然噛みつくアーサー。

彼の青春は、まだまだ続きそうだ。


Fin.

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