ひと夏の冒険 (ページ1)

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船頭に落とし物ページ1

「お、お、おい！な、何者だっ！」

暑い日の昼間。

クルーの一人はサーベル片手に船頭の上に立った。

白い、クジラの頭の上。

「どーした」「なんだ？」「誰だ？」「敵か？」

気づいた他のクルーたちが騒ぎ始める。

その騒ぐクルーたちを見た和服姿の女のように美しい男は、騒ぐクルーたちとは反対の方向に歩いて行き、

やがて扉をドンドン、と叩いた。

「おい、マルコ。」

そう声をかけると、中から“なんだよぃ？”という声。

男は扉を開け、机で作業をしている男＿＿＿この船の長男に言った。

「空からの落としモンだとよ。…長男、いっちょ見に行ってきてくれねぇか。」

長男、と呼ばれた男はメガネをクイっとあげ直し、それからため息を一つついた。

「…また面倒臭ぇ仕事持ってきやがってよぃ……ちったぁ静かに出来ねぇのかねぇ、この船は。」

男は、和服姿の男の横を通り過ぎ例の船頭へ歩いて行った。