不良青年に振り回されて、期待して。 (ページ6)

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日常ページ6

「おはよう。」

少し早めに学校についたつもりだった。

人気のない廊下で靴を履き替えていると、不意に頭の上かそんな声が聞こえた。

「え？」

靴を片手に顔をあげるA。

「なんでわざわざローファーじゃないのかなって。」

目の前にいたのは、

「っ、な、長野、先輩…。」

にっこり笑顔の長野がいた。

「早いんですね、」

ぎこちなく靴を袋にしまう。

それすらも凝視する長野にAはドン引きした。

「で、なんで靴？」

おとなしそうに見えてこの男の腹の中は底知れない。

やがて荷物を整えるとAは観念したかのような顔をして言った。

「…原付だから、ローファーだと危ないんです。」

その言葉に驚く長野。

「入学式の時は歩きだったじゃないか。」

歩き始めたAの後を追いながらそう言う長野。その表情は興味津々だ。

「えぇ、一応あの日は歩きで来ましたけどやっぱり遠いのでやめました。」

それだけ言うと、それじゃ、と割と淡々にAは別れを告げた。

Aの乗るバイクは原付二種の赤いハンターカブ。

家が少し遠いAはこれで通うしかないのだ。

並びに彼女の凄いところは一人暮らしである事。

不仲である父親から離れたい一心でこの高校へ来た。