藍沢先生の彼女は強くて弱くて脆い。

当日。 ページ22

藍沢サイド
夕暮れ近くの今、俺はヘリポートに一人立っていた。






藤川が一番俺たちよりも今日を楽しみにしていたが生憎今日は冴島の付き添いで来れなかった。






冴島が体調不良で入院になったのだ。









ヘリポートで待つこと15分。









気配を感じ振り向けば、









辿々しい足取りでこちらにゆっくりと向かってくるAだった。









俺も慌てて駆け寄ろうとするが、弱く強い声が凛と響いた。









「自分の…足で行きたいの。








耕作はそこで待ってて！」






そう言う彼女。









車椅子がなければ歩く事もままならないはずなのに、









彼女は諦めなかった。









やがて手の届くところに彼女が来れば、









俺は思い切り抱きしめた。









そして言ったんだ。









「A…









お前を俺は生涯離さないだろう。









だからこんな俺だが…一緒に隣を歩いてくれないだろうか。









結婚しよう。二人で幸せになろう。」









俺はプロポーズをした。









今世紀最大の勇気にして、









最高の幸せを噛みしめた。









「嬉しい！！！









耕作、あのね…」









誰が彼女の言葉を予想しただろうか。









予想できた人など居ただろうか。

あれから…→←作者のお部屋。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す