いつか、きっと。(私の終わりまで) (ページ25)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:44,158 hit

25 ページ25

.

次の仕事まで少しだけ日数を頂いたので

日本に帰国し、引っ越し作業を始めた

自室に入り、

ダンボールに必要な物を詰めていく

今まで、触れることの出来なかった

久しく見える沢山のモノたちが

私の胸をギュッと、押し潰す。

良い機会を与えられた

　

これで、やっと忘れられる

そう思って書斎の引き出しを整理し始めた時

隙間から一枚の写真がこぼれ落ちた、

「、！」

そこには、

本当に本当に幸せそうに笑う

二人が寄り添い合っていた。

もう二度と、

戻らないあの人と私達の笑顔

あの日から、

ずっと押し殺してきた悲しみが

封を切って溢れ出す

嗚呼、

まだ、こんなにも、

貴方を忘れられていないなんて

彼の生きた証がいっぱいに詰まったこの部屋

其処彼処に浮かぶ貴方の面影と思い出

ここに全てを置いていかなくてはならない

ゆっくりでも

ゆっくりでも

私は、今を進まなくては

大きなセカンドバッグとキャリーを手に

思い出の詰まったこの部屋と

彼の全てに別れを告げる、

「幸せな日々を、本当にありがとう。」

扉はゆっくりと閉まり、

残された物だけが静かに佇む、

ただ、一枚の写真を除いては。

.