目の前の君と (ページ10)

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そこからはとにかく喋った。
自分の思ってることを。

申し訳ないけど彼女の話を聞く余裕なんてなかった。

クラス替え初日の中学生みたいな自己紹介までした。

いい年した大人がもっとスマートにできたやろうとも思ったが、そんなのでは彼女に伝わらない感じがした。

直感的に彼女の前ではスカした態度なんていらない、まっすぐ伝えなくてはと思った。

閉店を告げる音楽に気づき急いで本屋を出た後、タクシーで自分が手に汗を握っていることに気がついた。

こんなに緊張してたのか
あれだけの会話で。
会話と言えるかも怪しい、見つけてからの7分間。

きっといまの姿を仲間に見られたら、らしくないと笑われるだろう。
そんなタイプじゃ、ないじゃないかと。

でもそうじゃない。
この感じこそ自分らしいのだ。
彼女の前では思ったまま真っ直ぐに伝えたり、後先考えず行動したり、昔の自分に戻ってしまうような気がした。