◇第二百四十九章◇ ページ7
久しぶりの感覚だった。
温かい水が、目から落ちる。
止まらない。辛くて、辛くて仕方が無い。
貴方「何で母さんが、父さんが殺されなきゃいけないの……?もうやだ……死にたいよ……ッ」
もう二度と会えないんだ。
話すことも、笑い合うことも、何も出来ない。
銀時「A……」
拭っても拭っても止まらない涙。息を吸うのも苦しくて、現実を受け止めるのが怖い。
貴方「私にはもう生きる理由が無い。家族もいない。ねぇ、私には銀時しかいないんだよ……ッ」
これは脅しだ。
この人は、銀時は、自分のことに関しては何処か軽く扱ってしまう癖がある。
私のために、自分の体なんて簡単に差し出せるだろう。
弱っている人間を、放っておけないから。
銀時「……良いよ。俺はAの望む物を全部やる。だから、A。生きる意味が分からねぇなら、俺の為に生きてくれ」
こんな状況で、無理矢理押し倒されたクセに、今度は優しく私を抱きしめる。
――あぁ、溺れそうだ。
それからは一度も抵抗さえされなかった。
どんなに酷く抱いても、耐えるように私を受け止めてくれた。
貴方「可愛い。銀時、可愛いよ」
銀時「うっ……は、ぁ……ッ」
苦しいって顔をしてる。嫌だって顔をしてる。
私はそれに、気付かないふりをした。
こんな拷問みたいなことをされても、この人は我慢出来るんだ。本当は逃げ出したいくせにね。
何度も、何度もキスをした。無理矢理押さえ付けて、私のものだって分からせるように。
銀時「A……ッ」
あんなに格好良かった男が、私の手でぐちゃぐちゃにされてる。
ずっと、されるがままに体を差し出してる。
貴方「銀時、好きだよ」
もう、聞こえてるかも分からない。
この顔を知っているのは、私だけなんだ。
他の誰も知らない顔。独り占めしたい。
自分本位に銀時を傷付けてる。
それが、辛いのか嬉しいのか、もうよく分からない。
貴方「ごめんね……」
零れるように口から出た言葉。
こんな最低な私を受け止めてくれてありがとう。
優しさに漬け込んで、好き勝手に抱いてごめん。
それでも私にとって、銀時は誰よりも大切な人。銀時さえいれば、私はもう他に何も要らない。例えこの世界が滅ぼうとも、銀時と一緒なら──
それから、籍を入れるまでに時間はかからなかった。
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アザラシィー - 更新待ってます。。(;∀;) (2月5日 13時) (レス) @page10 id: 1633d1d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新待ってます。 (11月29日 1時) (レス) @page10 id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
maiko4444(プロフ) - 初めまして!!シリーズ面白くて一気に読んでしまいました…続きを楽しみに待ってます(*´ω`*)(占ツク初心者なので不備がありましたらご容赦ください) (7月8日 12時) (レス) @page10 id: fc040ed077 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - おかえりなさい♪続き楽しみにしてました。 (5月26日 0時) (レス) id: 03c126c95f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - 初めまして!夢主ちゃんの両親を○したの誰だよ‼‼早く○ねよ‼‼とか思ってたんですが、○したのが白夜叉なら話は別だぁぁぁ‼‼銀時が白夜叉だと知った夢主ちゃんはどうなるのでしょうか…更新楽しみに待ってます‼ (2022年11月6日 10時) (レス) @page4 id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LAZU(らず) | 作成日時:2021年9月17日 1時