目を閉じて【NJ】 (ページ2)

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「あいつは絵が好きなんです」

また今日も懲りずに同じ相手から同じことを言われる。もはや仲良くなれんじゃないか。

というかいつまでこの家は黒電話なんだ。
早く携帯持てよ。

少し長引いてきた電話にイライラする。

「あいつが降りてきたんでもう切りますね。え？話しさせろ？
無理ですよ。あんた余計なこと言うでしょ。」

　
あいつが力なく降りてくる階段の音を聞いて半ば無理やりに電話を切る。

「ユンギ・・・ごめんね。私の家族のせいでユンギの時間、奪ってるよね。」

綺麗な茶色の瞳、長いまつ毛、薄くて桃みたいな唇

今日初めて顔をみたそいつに、さっきまでのイライラが嘘みたいに気持ち良くなる。

「お前に関係するもんは全部無駄じゃねえよ。
ていうか、俺から飛び込んでるから。
何にも気にすんな。」

な？と色素の薄い長い髪を触る

何度目かの同じようなセリフに

そっか・・・とどこか安心したように呟いたそいつは、豪快に腹を鳴らして顔を少し赤らめながら気まずそうに笑う。

「飯にすっか、昨日は和食だったから今日はパスタ。しかも明太子」

やったーとガッツポーズしながら伸びをするそいつを見て、後でマッサージしてやらなきゃ
なんて思う

俺らのこの日常がいつまでも続けばいい。