【実l況l者】魔法の言の葉【短編集】

重ね合わせるしあわせ/uszw ページ21

微かなお腹の痛みで目を覚ました。
何だか少し嫌な予感がして床に散乱した衣服の中から自分の下着を探して装着した。

「うーん…的中？かな？」

静かに呟いて足早にトイレに駆け込んでら下着を下げて便座に座って確認する。

「うわお」

的中はしていたけど、結構なあれで思わず大きな声が出た。
とりあえずその場で処理をしてから、頭を抱えた。
シーツとか平気かな？
はぁ、と大きめな溜息を吐いてトイレから出る。
ベッドまで戻ってカーテンの隙間から差し込む朝日の光で確認するも、真っ白なシーツで安心する。
足元に落ちていたTシャツを足で拾い上げて着てから枕元のデジタル時計を確認すると5:00を示していた。

お腹が痛いと言うよりは気持ち悪くなってきていた。
お腹は痛いけどそれはもう慣れたもので、それよりも気持ち悪さが何倍も勝って薬を飲むと痛みはシャットダウンしてくれるけど気持ち悪さが強くなるという変な体質なのだ。
仕事の時は薬は飲むけど、家にいる時や、休みの時はなるべく飲まないようにしている。

とにかくまだ早い時間だし、横になろうとベッドに腰掛けた瞬間に腕を掴まれて、ビクッと肩を揺らした。

「……あ、ごめん、起こした？」
「んー」

牛沢は上半身だけ起こして床下に落ちてる自分の服を拾い上げて着ると「何かあった？」と聞いてきた。

「んー、そうだね、明日、人間として機能しなくなるイベントがきたわ」

普通に伝えるのもつまらないから、まわりくどく伝えたつもりだった。
牛沢は即座に「マジか」と言った後「平気か？」と下腹部あたりを温かい手で撫でてくれた。
その優しさと、温かい手がホカロンの代わりになって少し痛みが和らぐ。
「手温かいね」と微笑むと「まだ眠いしね」と言いながらまたベッドに潜った牛沢は横にあるわたしの枕の上に腕を伸ばした。

「ほら、おいで」

お言葉に甘えるように腕の上に頭を乗せた。
後ろから抱きしめるような形でお腹を摩ってくれた。

「何か今日はやけに優しいじゃん？」
「ひゅ〜、失礼しちゃう、俺はいつでも優しいけどぉ？」

クククと喉を鳴らしながらいつもの笑い声が聞こえた。
そうだっけ？と、返しながらも摩ってくれている手の上から自分の手を乗っけた。

「は〜、本当に毎回こうじゃ、参っちゃうよ」

温かい手で摩ってくれても優しくされてもズキズキは治まらず、顔もその度に歪む。
牛沢はう〜ん、と少し悩んだあと耳元に唇を寄せて来た。

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