積年の想いが溶けてゆく/rt ページ14
企業の戦略に乗せられるのは何だかシャクだ。
けど可愛い女の子が好きな男の子に勇気を出してチョコを渡すと言う一連の流れは可愛くて好きだった。
そして今年もその季節がやってきた。
この季節の私は何と言ってもモテモテだった。
学校一貰ってると噂のキヨと張れるくらいチョコやらお菓子やら貰える。
「これ香坂先輩に渡して欲しいの」
そうこれを受け入れることによりおこぼれで貰える御礼のお菓子、なんだけど。
私よりも同じ学年の仲の良い先輩に頼めば良いもののやはり幼馴染に勝るものはないのだろうか。
家がお向かいだからそんなに迷惑じゃないと言った考えなのだろうか、そこら辺は些か謎だけどたかだか私に渡すだけで緊張の面持ちで赤面してる女の子にそんなことを聞くのは野暮ってやつである。
幼馴染の香坂怜斗、通称レトルトはモテる。
無愛想だし目つき悪いしどこに好きになる要素あるんだろと思ってたけど見た目に反してさり気ない優しさがあるとかないとか、私そんなことされた覚えないんですけど。
小学校で1度は誰もが好きになる男の子っていたじゃん？
そんな奴だと思ったのにそれが高校まで続くとは思ってなかった。
まあ、だったら同じ高校選ぶなよって言われればそれまでなんだけど。
放課後レトルトの家の前で待ってると綺麗にラッピングされた袋をぽんぽんと手毬のようにしながらレトルトが帰って来た。
「お、Aやん、今年こそ俺に本命チョコくれるん？」
笑顔で手を差し出してきたレトルトに紙袋をずいっと差し出した。
「可愛い女の子の気持ちが入ったものそんな風には扱ったらだめ」
「……人頼みなもん律儀に受けとんなくてええのに」
「ちゃんと手紙とか読んであげなね」
じゃ、渡したからねと言って自分の家へと向かおうとしたらスクバを掴まれた。
「何か用？」
目前に差し出されたのはさっきまで手鞠代わりにされていた袋で怪訝な顔を向けた。
「……貰ったやつじゃないの？」
「企業の戦略に乗せられない素直じゃない幼馴染には俺から渡すしかないかなってな」
無言で受け取ってからチラとレトルトを見上げるとにまにまと笑っていた。
本当は可愛い女の子になれる周りの女の子に憧れてた、なんて言ったらレトルトは何て言ってくれるかな。
スクバから出した綺麗にラッピングした箱をレトルトの胸に押し付けた。
「返事はこれね」
言い終わる前に抱き締められたレトルトの胸の鼓動が私より速い気がしたのは自惚れだろうか。
☆
VD!
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luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます！読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (2021年3月30日 2時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます！lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです！微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします＼(^^)／ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、！！lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました！！きゅんきゅんして幸せです！笑 これからも頑張ってください！応援してます！！ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2020年2月11日 1時
