Another Story:愛に染まる ページ47
夜桜はライトアップされていてなかなか綺麗だったけど休日だったこともあって人混みが祝日のショッピングモール並だった。
キヨくんは人混みに突入する前に手を繋がないとここで暴れて喚き散らしてやるとわたしが困るであろう脅しをしてきた。
そんなことしなくても手くらい繋ぐのに……と思いながら差し出された細いけど男の人の手らしく大きな掌に指を乗せるとゆっくり絡め取られた。
少しだけその指が温かくて出会った頃のキヨくんの冷たさは何だったんだろう……？と少し疑問にも思いつつ普通のカレカノっぽくていいなと機嫌良く「こういうのもなかなかいいじゃん」なんて笑うキヨくんの隣に並んだ矢先だった。
「A？」
苗字は会社で呼ばれ慣れてるはずなのにその声が耳に届いた瞬間、心臓が痛んで息苦しくなった。
「やっぱり……久しぶり」
「あ、ひ、久しぶり」
わたしが振り返るよりワンテンポ遅く振り返ったキヨくんの指先は先程と比べ物にならないほど酷く冷たくそれでいてわたしの指や手をその冷たさで痛いほど捕まえて離さない意志を確かに感じた。
「元気だった？」
「う、うん」
視線をどこに定めればいいかわからず、彼の足元ばかりを見ていた。
あんなに恋焦がれていた彼に会えた喜びよりも隣にいる彼氏の心情を想うと怖くて、それでいて心配になった。
痛いほど捕まれている手に微力ながらも力を入れて握り返す、大丈夫だよ、と伝えるように。
「隣の人……彼氏？」
社交辞令のような一方的な質疑にYES・NOで答えていたわたしに痺れを切らしたのやっと聞いてくれた。
顔を上げるとライトアップされた夜桜をバックに眉を下げながら笑う彼に「……うん」とだけ答えた。
「そっか、またね」と手を振った彼はゆっくりと人混みに消えて行った。
実は会話中、心ここに在らずでキヨくんの精神状態ばかり心配していた。
リンゴを潰せる握力ほどの力で手を握られ続け限界なわたしは悲鳴をあげた。
「いた、い？！」
キヨくんを見上げるとぼっろぼろと涙を流していた。
「え、ちょっと……大丈夫？！」
「大丈夫な訳あるか！あいつあれだろ？絶対そうだろ？！無理、Aの瞳に俺以外の男が映るのはもう耐えられないからやっぱり監 禁するしあいつは殺す、絶対殺す」
最初は驚いたけれど今となっては嬉しい愛情表現にクスッと笑えてきてわたしも大分染められてしまったようだ。
「はいはい、大丈夫、監 禁の話はとりあえず松屋でご飯食べてから考えようね」
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
