ひどく冷たい綺麗な指先 ページ5
わたしの家の冷蔵庫の中の飲料は水かノンカフェインのお茶しかない。
そうなるとキヨくんの大好きな綾鷹もなければレトさんが健康意識して飲んでる炭酸水もない。
ホットはココアか友達に誕生日プレゼントにと貰った紅茶くらいしかない。
「何か……」
飲みますかと言う質問は視界に突如現れた影に寄って遮られることになった。
「綾鷹ねーの？」
顔を覗き込まれる形で至近距離にキヨくんが立っていた。
「あ、ありません」
「ふーん」
棚から取り出したココアの袋といかにもプレゼント包装されました的な箱をチラと見たキヨくんは怪訝な顔をした。
「それ誰から？」
低く冷たい声色の様に聞こえてキヨくんを見上げると目が全然笑ってなかった。
少し怒ってるような気さえもする。
「え……友達ですけど」
「男？」
語尾に被さるように聞かれてビクッと肩が震えたのはココアの袋の上に置いてた手に綺麗な指先を置かれたからだった。
「女の子です」
それを聞くとふわっと笑ったキヨくんはゆっくり指先を離していった。
「レトさんは水でいいよ、俺はココアね、愛情たっぷり入れて」
電話で聞いた甘めな言葉でお願いされたことよりも触れられた指先がひどく冷たかったことだけが気になって仕方がなかった。
暫くスマホを操作していたレトさんもキヨくんが座っているソファと対面する形で置いていた机の横にちょこんと座っていた。
飲み物を出すとぺこと軽く会釈されてそれにつられるようにしてわたしもぺこと頭を少し下げた。
「あの……どうされるんですか？」
わたし的には今後のふたりの行動とかストーカーについての話を聞いたつもりだった。
「普通にお姉さん顔バレしてるから危ないかもね」
「へぁ？！」
思ってもない方向の返答に変な声が出てしまった。
急に恥ずかしくなって口元を押さえるとキヨくんは嬉しそうに片方の口角だけをあげていた。
効果音的には「ニヤリ」が似合うやつだ。
「彼氏おるんやったら数日は送り迎えとかして貰ったり休日はデートした方がええで」
電源を切ったらしい真っ暗な画面のスマホを机の上に置いたレトさんはここでやっと初めてわたしの顔を見た。
「何でですか……？」
その前にどうして顔バレしてるんですかね？
ストーカーの情報網そんなに凄いの？
寧ろそんなストーカー凄いから付き合って使えるものは使った方がと考えながら目を泳がせていると「気付いてなかった？」とキヨくんが足を組み直した。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
