今宵の月は狂気に満ちている ページ24
言ってることは間違ってはいない。
本気な眼差しだし豆電球の逆光で暗いキヨさんの表情は読み取れないけど、ひたすらに顔に降り注いでくる雫はどういう意味合いで流しているのだろう。
動画で何度も見てきた赤い襟足だけが月明かりによって綺麗にハッキリとした色彩としてわたしの瞳に乱反射していた。
「死ななくても好きですよ」
語尾に��多分��とつけようとして飲み込んだのは今のキヨさんにそういう曖昧な表現をするのは危険そうだったからだ。
「そんなのわかんねぇじゃん」
随分、綺麗に泣く人だな、と、どうでもいい感想を持ったのは泣き声ひとつ漏らさずに瞳から涙を流してるからだ。
話す時も嗚咽なども一切漏らさない、少し声が震えてるくらいだった。
「俺はAに触れる男は全員殺すしAが俺のことを好きでいてくれる今その気持ちを永遠に俺のものにしてぇんだよ！」
大きな声で愛の告白のようなものを突然されて反射的に肩が震えた。
わたしの手首を抑えていたキヨさんの力がより一層強くなった。
「痛い……です」
「俺の為に泣いてよ……俺の為に傷付いて……俺のことだけ一生好きでいて……」
少し弱まった力を見逃さず手首を動かし両手の手の平を思いっ切りキヨさんのは頬に叩き付けた。
驚いたらしいキヨさんはキョトンとした顔をしていた。
「わたしキヨさんのこと好きって言ってるじゃん！」
そっと片頬にあるわたしの手に手の平を添えたキヨさんは「足りねぇんだよ」とだけ言ってまた肩に顔を埋めたと思ったら首筋に外傷のような痛みを感じた。
「キヨさ……ん」
「痛い？痛くしたんだから痛てぇに決まってんだよ」
そう言いながらやっと上体を起こしてくれたおかげで身体の自由を与えられた。
強めに手首を掴まれ同じく上体を起こされてキヨさんと対面する姿勢になった。
さり気なく手元に放り投げられていたスマホを指で触るとデジタル時計は23:36と表示されていた。
「あの……終電……」
このままのキヨさんを残していくにはあまりにも聞いていないことが多過ぎるしそもそもとりあえず盗聴はやめて欲しい。
いろんなことが起きすぎて頭の整理は何となくされた気がするけど心の整理がつかないから帰りたかった。
「もしかして帰れるとでも思ってんの？」
……まあ、そうだよね。
キヨさんは嘲笑うようにわたしのことを見ていた。
それが死ぬほど好きな女に向ける表情かと心の中で少しだけ悪態をついた。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
