【実l況l者】かみさまのこえよりめのまえのきみ【長編】

Last Story...赤に染まる幸せ-2- ページ48

会場に着くと見知った顔がたくさんあった。
「あの子の人脈の広さを思い知らされるけど、同窓会みたいだね」と隣にいたレトルトに話しかけると「居心地悪い……」と漏らしていたので背中を叩く。
「シャキッとしなさい」
と、笑いかけたけど、「自分で蒔いた種でしょ」と牛沢につっこまれていた。

ウェルカムボードの前ではお色直しドレス色当てクイズBOXなるものが置いてあった。
「3色の中から選ぶのか」と呟き、紙を広げると、赤、黄、緑と色が並んでいた。
遅れてやってきたレトルトに「キヨってまだ髪赤いの？」と訊ねる。

「いや、今はえりあしだけ赤くて当日は色味考えてるとは言ってた」

ふ〜むと考えていると「俺、緑」と牛沢は決めていて、レトルトは「黄色もええなあ」とレトルトは黄色にしていた。
わたしはレトルトに訊ねておいたくせに、最初から決めていた色にしてBOXの中に紙を入れた。
ハワイで前撮りしたと言っていた写真が飾られていて、幸せそうなふたりが見られると思うと嬉しくてたまらなくなった。

式は順調に進み、Aのドレス姿はため息が出るほどにキレイだった。
父親がいない代わりに牛沢がバージンロードを歩くことになっていて、新郎新婦より先に牛沢が号泣していておかしくて笑えた。
バージンロード歩く位だからやっぱり牛沢は親族席に座る運びになっていた。

陽の光が差し込む白くてキレイな教会で牛沢の手からキヨの手に渡るAの手。
きっとわたしが知らない牛沢とAの物語があっただろう。
牛沢が必死になって守ってきたAをキヨに託す瞬間、自然と涙が溢れた。

キヨの髪は黒くなっていて、メッシュもない真っ黒な髪のキヨを見るのは初めてで、驚いた。
写真を撮りに行った時に「冠婚葬祭は俺だって真面目にするから」と笑っていて「この人、本当にキヨ？」とAに聞いたら「影武者かも」と言っていて「おいっ！」とキヨにつっこまれていて3人で笑った。

お色直しは結局何色かなー？と考えていたら、お色直しが終わったらしく扉に注目した。
唖然としたのはドレスの色じゃなくキヨの髪が真っ赤に染まっていたことだった。
キヨの髪の色と同じ色のドレスを身にまとったAは笑顔のキヨの横で良い笑顔をしていて、やっぱりな、と頷いた。
「本当にキレイで、本当に幸せそう」そう呟いたわたしは目を見つめあって楽しそうに笑うふたりを見て思った。

「まるで、太陽みたい」

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