【実l況l者】かみさまのこえよりめのまえのきみ【長編】

君といる未来を期待させて ページ30

レトルトと会うのは金曜日のシフト後になった。
シフトを見てみたら珍しくあがる時間が同じだった。
LINEのやり取りを終えて、溜息を吐く。

もう、ほとんど胸の中は決まっていた。誰に何を伝えるか、きちんと伝えられるだろうか。
でも、伝わったら嬉しいな。

結果じゃなくて誰と誰を比べるでもなく、周りの声に干渉されるでもなく、今回だけはかみさまには頼らず、私と共に過ごした時間、目の前にいる人に想いを伝えよう。

その時、スマホが鳴った。
名前を見て少し笑ってから「遅いぞ」と呟いた。

呼び出されたのは私の家の裏にある小さな公園。
ブランコに乗ってる後ろ姿に声を掛ける。

「動き出すのが、少し遅いんじゃないんですかぁ？」

ゆっくり動いていたブランコがキィと音を立てて止まる。

「怒ってんすかぁ？」

私が怒って喧嘩をするとよくうっしーは同じ言葉で煽ってくる。
その問いに答えるかのように少し睨みをきかす。
「はいはい、悪かったって」と言って両の手のひらを胸の当たりにあげていた。
これもいつもの喧嘩の終わりの合図。
うっしーはいつだって優しくてその優しさにいつも甘えていた。

「まあ、もうわかってると思うからちゃんと言うわ」

あまりにも何も言ってこないから暇になってブランコに乗っていたら、いきなりブランコの持ち手を前から握られた。

「その割にだいぶ待ったけどね」

うっしーは、ウッと痛いところを突かれたかのように胸を辺りを抑えていた。
悪いことしたかなと思って呼びかけようとしたらいきなり肩を掴まれた。

「お前……わかってんのか？17年も人のこと好きになったことないだろ？！」
「え、あ、ハイ」
「Aのことが……好きで好き過ぎて、俺の生活めちゃめちゃなんだよ！」

その後に、「冗談」とか「告白してない」とか無駄な一言つけなければ十分伝わるのになあと思いながら目をぱちくりさせた。

「わかってんのか？！」
「うっしーの告白はいつも等身大でめっちゃめちゃかっこ悪くてすごく伝わる、ありがとね」

私はニシシと歯を見せて笑った。

「んだよ、それ」と言っていたうっしーもつられて笑ってた。

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