【実l況l者】かみさまのこえよりめのまえのきみ【長編】

可能性のパーセンテージ-2- ページ24

レトルトは目を丸くして驚いていた。

言ってしまったことを後悔した。
いつもこうだ、言わなきゃ良かったと思うけど気持ちに負けて聞いてしまう。

私は、いつまで、待てばいい？

3分くらいの沈黙だった、心臓が痛いくらいに鳴り響いていて体感的には1時間くらい感じていた。

「……人の心は変わるやん、%では言えん」

わかっていたけど、そういう人だ。
欲しい言葉はくれない、明確に離してはくれない。

「そっか、そうだよね」無理やり笑顔を作って立ち上がって出ていこうとしたら腕を掴まれた。

「ごめん、嬉しいけど……今は離して」

既に涙腺は限界ギリギリだった。
もう瞳は潤っていて準備は万端で瞬きをしたら流れて止まらなくなりそう。

「ずるいこと言うようやけど、Aがまだ俺のこと1番好きならそのままでいて」

振り向いてレトルトの顔を見た。

な、なんで？

なんでレトルトが泣きそうなの？
こっちが泣きたいよ、なんなのそれ。

「俺はAのこと好きやけどこれって好きなんかな、って思う時がある」

ドキッと言うよりズキッの方が音的に合ってるいるように心臓が鳴った。
歩美さんに言われた「執着じゃなくて？」という言葉が頭の中で鳴り響く。

「あと、俺はやっぱり前の彼女のこと思い出すことが多いから」

あ、何かデジャブだ、これ。

「でもAのことも離したくないんや……ごめん、本当にごめん」
そう言うと「お疲れ」とわたしの肩を叩くと劇場の中へ消えていった。

結局私が欲しかった答えは返ってこないまま前の彼女のことが好きだけど俺のこと好きなら好きでいてと言われた。
でも初めて謝られた。
謝られたってことは少しは可能性あるの？
わたしはまだ頑張っていいのかな？

でも、1年前と状況も言い分も何も変わってない。
持続するにはこの恋は持久力の消費量が半端ない。

「……もう疲れちゃったな……」ひとりになったスタッフルームでボソッと呟いた。

それでもやっぱり腕を掴まれた時は期待しちゃった。
あの気持ちは何にも変えられない気持ちだった。
この夏だけ、この夏だけはどうしても頑張りたかった。

今が0％なら、せめて、1%にしたい。

前の彼女が99%でもいい、1%でもいいから、わたしのことだけ見て。

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