赤い太陽-1- ページ1
人生に疲弊していた時に太陽と月と思いもよらぬ所から隕石が降ってきたら人はどうするんだろう。
私の心はひとつだし、もちろん身体もひとつ。
全部なんて受け止められない。
でもどれかを選ばなければならないことになったらその時わたしは正しい選択が出来るのだろうか。
「今日も満員御礼……の予感」
隣のギャル先輩の呟きに全くその通りだなと目の前の光景にうんざりする。
オープンダッシュとはこのことだな。
一瞬で目の前は人の海でいっぱいになる。
そんなに毎日、人間て映画見るのか？と思いながら一組一組接客して行く。
例に漏れずそんな自分も映画が好きだから映画館で接客しているわけだけど。
耳につけてる無線の外でも戦場。
毎日戦場。
でもそこがまた面白い。
オープンしてから2時間喋り続けてピークが終わり、次のピークまでは休憩回しだ。
私は残って疎らに来館する人達に接客をしていた。
暫くそうしているとまだピークでもないのに隣にいた瀬名歩美と言う名のギャル先輩が「げ」と嫌そうな顔をしていた。
「歩美さん、どうしたの？」
「ほら、見て」
歩美さんが指差した方向には赤のメッシュが入った髪の背が高い細身の男性がいた。
「知り合いですか？」
「ガラ悪そうだし、接客したくないから代わって」
と、言って肩を持たれて隣のレジ台に移動させられた。
人のこと言えるか？と思いながらも金色に近い髪型と目を縁どる濃いアイラインの歩美さんを見ながら思ったけど、そこが歩美さんの可愛いとこでもある。
「いらっしゃいませ」
「…………やっと会えた」
えっ？という言葉が二重になって聞こえたのは隣の歩美さんとわたしの声だろうと残りの2%くらいの脳で処理したが、目の前の赤メッシュの男性を98%の脳を使って探したけど心当たりが全くない。
「俺のこと覚えてないの？」
わたしが戸惑いの表情を見せていると、眉を下げて無理矢理笑顔を作って聞いてきた。
「も、申し訳ありません」
その後、赤メッシュの人は名乗って気にしないで、また会おうねと言って12時の回の探偵もののアニメのチケットを買っていった。
「知り合いじゃないの？」と歩美さんに再度聞かれたが全くもって記憶になくて「人違いだと思います……」としか言えなかった。
ただ、何となく声だけには聞き覚えがあるような、ないようなそんな不思議な感覚だけが残った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
luco(プロフ) - 秋葉さん» 秋葉様、コメントと、丁寧に読み込んで下さりありがとうございます。君をこんなふうにできるのは-2-をもう一度読んでくださるとわかるかと思います。自覚はしていないけど周りから見ると...って感じです。それでもわからなければまたご質問頂ければお答えします。 (2018年8月17日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
秋葉(プロフ) - すごく面白かったです！ただ、私の読解力がなくて、キヨさんが初恋ってなんでか分かりません……ヒントとか頂けないでしょうか？ (2018年8月17日 0時) (レス) id: 7505b4bacb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 咲良さん» 咲良様コメントありがとうございます！具体的な感想もとても嬉しいです。全ての人に救済をしたかったのでそれが出来ていたようで安心しました。心に響く感想ありがとうございました！ (2018年8月15日 3時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
咲良 - コメント失礼します！Another Story4の来世ではきみと、でタイトルから泣いてしまいました.. 色々な視点から物語が読めてとても素敵な作品だと思います！わたしはハッピーエンドが好きなので終わり方もとても良かったです。文章が変になってたらすみません、、！ (2018年8月15日 2時) (レス) id: 50485c4a3d (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 煎茶さん» 煎茶様、コメントありがとうございます！少し、物語の転結急いでしまった感があるのですが、お褒めいただき嬉しいです。こちらこそありがとうございます……！ (2018年7月13日 13時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：luco
| 作成日時：2018年6月11日 2時
