空虚に光る生活感 ページ10
撮影部屋には家電はほぼない。
物置部屋と撮影の為だけに使うから2LKを借りていたし、物置部屋をAちゃんの部屋にして貰おうと思っていた。
最寄り駅はタワマンが立ち並ぶセレブ集う有名な駅やった、これは……おセレブ様やん！
Aちゃん家は2LDKで生活感が溢れ出ていた。
旦那さんは事故で亡くなったと聞いていたし、その日のAちゃんは会社が休みで自宅で夕飯を作ろうと思った瞬間に警察から電話があったと言っていた。
リビングにはコンセントがささったままの扇風機、手の届く範囲に置かれたTVのリモコン、タオル掛けにかかっている数枚のタオル。
オープンキッチンには中身を洗って乾かしていたのか空のペットボトルが2本、干してある布巾、ガスコンロに置かれている大きなフライパン、水切りに置かれたままの2人分の食器。
数日前まで他人だった俺でさえ、胸が張り裂けそうな想いやのに、彼女の気持ちを想うと何も言えなくなった。
Aちゃんは意外にも俺の無理に作る笑顔は嫌いやしと言った言葉を覚えていたのか、笑わずに、そして何も言わずに、食器を片しながら涙を流していた。
肩を摩ると「ちょっと泣いてもいいですか？」と問われた。
もう泣いてるやん、とは思ったけど俺は首を縦に振った。
「言ったやろ？死ぬよりかは泣く方がよっぽどええって」
Aちゃんと旦那さんの部屋は別々でシングルベッドで寝てた、と言っていた。
夜の営みとかどうしてたんやろ、とは思ったけどこんな状況でそんなん聞くのはデリカシーがなさ過ぎる、我慢、我慢。
生活に必要で俺ん家にない家電とAちゃんの部屋の荷物をまとめてそれは引越し業者に頼むこととなった。
旦那さんの部屋は「お義母さんにご連絡したので一緒に遺品整理します」と言っていたから手を付けなかった。
最初に会った頃、お義母さんに自由に生きてと言われたと言ってたし関係が悪くないのか不安があった。
それが顔に出ていたのか「大丈夫です、お義母さんとは険悪とかではないので」と俺の不安を拭い去ってくれた。
人の心を読むのがうまいのか、俺がわかりやすい顔をしてるのか、どっちもどっちな気がした。
さすがに時間はかかったけど期日までは家を明け渡すことが出来た。
お義母さんにも会ったけれど、俺は親戚ですと名乗った。
自分の息子の元嫁が知らん男の部屋に住むなんて最悪過ぎるもんな、お義母さんは「Aちゃんをよろしく」と深く頭を下げていた。
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
