きみの命を支えたい ページ6
一睡も出来なかった。
知らん男の名前を呟きながら涙を流すAさんにチリと焼け付くような胸の痛みを覚えた。
そもそも他の男をあんなにも愛してる女を好きになるなんてバカげてる。
昔から友達と好きな子が被ったりしたら即座に譲ってきた、自信がないのもあるけど、争い事はなるべく避けたかった。
元来コミュ障な俺がここまでAさんを気に掛ける理由はただひとつ、生きて欲しい。
好きとか好きじゃないとか、恋とか愛とかはひとまず二の次でAさんが生きていたいと思える理由が見つけられる手助けをしたい。
それが俺の動画ならいいなんて欲も、そりゃ、ある。
興味があって始めただけの実況も10年も続けているし、Aさんの希望になれるならなりたい。
胸の痛みも、その奥の温かみの理由もとっくのとうにわかってはいた。
でも俺に限ってそんなことはない、そんなの1回もしたことないんやからと否定し続けた。
それこそ俺が見て見ぬ振りをした。
だって、きっと、これは、叶わない。
それでも止められない、落ちたら最後とはこのことか、これが、一目惚れってやつなんか。
ただ、引き留めた時は下心なんてちっともなかった。
ただ、あの腕を掴まなかったら一生後悔するって直感で思った。
徹夜の頭を覚醒すべく寝ているAさんを起こさないように立ち上がって洗面台へと向かう。
冷水で顔を洗いパンッと顔を叩く。
昨日、撮るだけ撮って放置してた動画を引っ張り出して物凄いスピードで編集を始めた。
エンコードに時間がかかるのがあれやけどこの調子なら昼過ぎには出られるな。
リビングに戻ると、目に押し付けていたはずのタオルを首に巻き付けているAさんがいた。
俺はすぐさまその手を取って「何しとんのや」と目と声で叱った。
Aさんは「おはようございます」とだけ言うと「首は苦しくてだめですね」とにへらと笑って誤魔化してきた。
はぁ、と溜息を吐くと指をいじっていたAさんは思いついたように顔をあげた。
「泊めてくれたお礼に朝ごはん作らせてください！」
そう言ってキッチンへ向かったAさんを止めはしなかった。
料理をすることでその時間だけでも気が晴れればそれがいい。
そうやって、そういう時間をたくさん作っていくことがAさんが立ち直る最短な道のような気がした。
「白米炊いていいですか？」
「お好きにどうぞ」
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
