好みじゃないけどいい女 ページ35
俺は仕方なくそれに従い、会計前だと言うこともあり飲んでた個室へと戻った。
「単刀直入に言います、レトルトさんの……彼女さんは今、目の前のホテルにいます」
「は？」
キヨくんが掻い摘んでは話をしていたとしたら「レトさんの女」とかなんとか説明してそうやし違和感はない。
虚しいけど。
それにホテルにいる、と言うことはAちゃんの中に死ぬと言う選択肢はきっと薄い。
それだけは少し安心した。
それより、何で、休日にこんな辺鄙なとこに居たんだ？
それにどう言った経緯で知り合った？
何が何だかわからず、頭にはてなマークが飛ぶ。
「ケーキ屋の前で過呼吸になってるとこを助けました、介抱して横になれる所がいい、と思い、わたしの職場であるホテルに運びました」
だから知らないとこへ行ったり知らない店に不用意に入るのはやめた方がいいと助言したと言うのに。
Aちゃんは前にもケーキ屋の前で過呼吸になりかけたことがあったからその話自体は不思議ではなかった。
「そう」と短く小さく返事をすると物凄い勢いで彼女に睨み付けられた。
「心配じゃないんですか？」
心配に決まっとるやろ、寧ろ心配のし過ぎでLINEの既読確認何度もしたし電話も掛けた、既読にならんと言うのに追いLINEもめっちゃした。
「介抱してくれたことは感謝しとる、どこの部屋？起こして一緒に帰るから……」
頭をがしがし掻いてから彼女の方を見ると今度は眉を八の字にしてお辞儀をされた。
「申し訳ございませんが、レトルトさんからの接触は拒否されておりますので、お教えすることは出来ません」
俺は開いた口が塞がらなかった。
俺何かした？
Aちゃんの機嫌損ねるようなこと……あ、飯か？
でも飯を直前の予定変更で断ることなんて何度かあった。
そんなに怒るようなことか？
「短絡的な考えでは思い付きもしない理由ですよ」
挑発的なその言葉に「あ？」と低い声が出てしまった。
「彼女を助けた責任、考えてますか？」
彼女は臆する様子もなく、それだけが本当は言いたかったことのように先程までとは違った柔らかく優しみが帯びた声と言葉が心の奥に響いた。
「……考えて、ます」
俺の瞳をジッと見つめた彼女は数秒後、ふわっと笑い「良かった」と一言そう呟いた。
「じゃ、会計しますか」
個室を出た彼女を見てからキヨくんを見ると「いい女でしょ」と言いながらニヤニヤと笑っていた。
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
