長年のやつやからね ページ19
それから割と直ぐにキヨくんが家に来た。
いつもよりニコニコと笑っていて「準備手伝う？」だとか「お菓子買ってきた！」とかテンションが高くて「……うわ」と声が出てしまった。
何やねん。
「何でそんなテンション高いの」
そんな言葉が出るのも仕方ないくらい聞いて聞いてオーラが凄くて嫌な顔をしながら聞いてやる。
「俺の彼女が可愛くて辛い」
「え？！今、彼女おったっけ？」
「未来に彼女になる子」
未来？
……ははーん、わかったぞ。
夢に出てきた女優を俺の女とか言う奴だと言うことを忘れていた。
キヨくんはそういう奴やった。
「妄想のやつ？のぞみーるとか、ななみんとか？」
少し邪険にすると、もうその話題には興味がなくなったようで少し声を抑えて「いんの？」と聞いてきた。
「気ぃ遣ってどっか行った、ちょっと心配」
気なんて遣ってないなんて言ってたけどあれは完全に気ぃ遣ってたし、ケーキ屋の前を意図せず通って過呼吸になったりしないかとか、家族とかカップルとか見て変な気起こさないかとか考え出したらキリがない。
実際、何度か寝る前に泣いて過呼吸になったことがあったらしい。
最近は減ったと言っても放っとけない危うさが未だにある。
「ただ、仕事以外で外に出れるようになったのは進歩」
「ふーん、あのさ」
「なに」
「酒飲んで潰れて、俺の事ホテルに担いでってくれたことある？」
……キヨくんほんま俺の話に興味ないな。
まあ、変に突っ込まれてもウザいからそっちのがええけど。
って、ちょっと待て。
「ありすぎて全部なんて覚えてない、もしかして禁酒やめんの？」
何度キヨくんのこと介抱したり運んだりしたことか。
もうあんなのはごめんやぞ、と言う気持ちを込めた顔面でキヨくんを見る。
「や、そーじゃなくて……」
「なに？遠回しはウザい」
「今、泊まってるホテルのフロントの子、見覚えあんだよね」
見覚えあると言いつつ口元が僅かに緩んでるし、それまで俺のことを見据えていた目線を外した。
わかりやっす。
「ふぅん……その子のこと好きなん？」
「は？」
「……はい、図星、キヨくんが俺のことわかるように俺もキヨくんのことはわかんの」
少し口角をあげてキヨくんを見ると降参の意味なのか両手をあげていた。
「自力でがんばりー」と俺は目を細めた。
何本か録り溜めをして寛いでいたらガチャンと鍵がまわる音がした。
何かあったんか？
俺は焦る気持ちを抑えつつ「すまん」と言い撮影部屋を飛び出した。
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
