騙し恋に落ちるほど青くない ページ4
領収書を入れ始めたAさんは手際が良くてついついそれを見たまま黙りこくってしまった。
「清川様はご朝食はいつもどうされてるんですか？」
「え、あー、適当な時間見っけて食ってる」
「そうなんですか、タダですし時間が合えばいかがですか？美味しいですよ」
フロントの目の前にある階段で下の食堂に行けるようで、そっちに目線を少し移したAさんにつられて、後ろを振り向く。
毎日メニューが変わるらしく、手作りの黒板みたいなメニュー表にはカラフルで読みやすい、如何にも女子みたいな字で何種類かのメニューが書かれているのは知っていた。
「あれ、フロントの人が書いてんの？」
「そうです、朝か昼の人が書いてます」
思ってもないチャンスが到来した。
さり気なく自然にシフト形態を聞けそうだ。
「ふぅん」
興味があるかないか曖昧な返事をした俺は口を開いた。
「シフトってどうなってんの？」
「朝は8時から13時で、大抵パートの方がいます、それから13時から22時まで、21時半から8時まで、で24時間まわしてます」
答えながら最後の列に差し掛かったキーボックスで一旦手を止めたAさんは「休憩2時間あるんで夜勤の5連勤とかあるんですよ」と言って俺を見て少し間を置いた。
「でも、わたしこの仕事大好きなんです」そう言うとニッコリと微笑んだ。
「清川様みたいなお客様と仲良くなれたりしますから」
俺は部屋に戻ってベッドに寝転がって寝ようとしたのにさっきの言葉が頭を駆け巡って仕方ない。
何て奴だ。
キャバ以外にあんなたらしな接客業いんの？
怖すぎ、ヤバ過ぎ。
それとも俺が単純なだけ？
男は単純なんだよ、ほっとけ、バカヤロー！
あんなん俺じゃなくても、は？好きってなるだろ、レトさんとか絶対好きになるからな？！
……それより、少し感じていた違和感に身体を起こす。
顔だけじゃない……声だ、そう声だ。
声の方がもっとはっきりと聞き覚えがあった。
だけど、名前を聞いてもピンと来なかった。
「キヨって呼んでよ」
「お客様にそんなこと出来ません」
「じゃあ、勝手にAって呼ぶからな」
「……きょうみたいにふたりだけなら、いいですよ」
キヨって呼んで欲しくて断られるの前提で言ったのにそんなことを言われた。
返しがうまいだけじゃない、あれは言われ慣れてる感じだ。
何となく面白くねえな、そう思いながら無機質な天上を見てからそっと目を閉じた。
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
