【実l況l者】薔薇色メッセージ【企画短編】

紙ひこうきに繋がる扉/rt ページ29

「きみ推しアイドル」「眩しくみえて泣けてくる」と同じ世界線rtさんver.
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開場をして形成されている列が動き出した。下を向いたまま、爆音でかかっているヘッドホンを外して周りの様子を見渡した。
ここにいる人達が全員、わたしの担当であるレトさんの担当と言うことが信じられなかった。

新年明けてからしばらく経った日付から1週間、アイドルグループtop4のメンバーであるわたしの最推し担当レトルトのソロコンサートがここ品川で開催されることになっていた。
社会人にも優しい(定時であがれるなら)余裕で間に合う開演時間。
この1週間を全て定時であがる為に、死に物狂いで仕事をし、もし定時であがれなければ辞めますと宣言までした。

夏のツアーで発表されたソロコンサートいくらキャパが狭いからと言ってちゃんと全て席が埋まるか不安だった。
と言うのも、top4人気はメンバーそれぞれあるもののやはり体感でわかる圧倒的なキヨくんのファンの多さだ。
なぜソロコンサートがレトさんなのか理解が出来なかったけれどその後発表されたキヨくんの冬ドラマの主演の一報にtop4ファンは皆頷いただろう。
わたしの心配は杞憂でファンクラブ先行だけでチケットは無事にSOLD OUTした。

列に並んでる前後のお姉様方は話からするとキヨくんファンのようだった。
いくら冬ドラマの撮影があるにしてもツンデレのキヨくんのことだから、絶対鑑賞するに決まってる、でもいつ来るかはわからないからやっぱり全部チケット取るべきだったかな……大まかにはそんなことを話していた。
鑑賞、つまりはプライベートな担当に会えることを狙ってるファンもいるってことを忘れていた。
他のメンバーの担当の子も考えそうだし速攻のSOLD OUT、倍率25倍も納得出来うる理由だった。

ソロコンサートの出来は担当目線の色眼鏡を外していても完璧だった。
いつものレトさんらしさもありながら、根底の真面目さが実によく現れていて入念に打ち合わせなどを重ねてファンを楽しませてくれるものに仕上がっていた。
キャパも狭く、双眼鏡も要らないほどだった。

そして迎えたオーラスの日。
この1週間、うっしーやガッチさん、そしてキヨくんと全てのメンバーが日替わりで鑑賞していた。
だから最終日だからと言ってメンバーが来ることはないだろう、そう、思っていた。
その日の席は関係者席の近く……と言うより仕切りで仕切られてはいるが真横でだった。

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