ぜんぶ、しってるよ/gtmn ページ43
「Aさん」
リビングのドアの戸なんていつも開けっ放しのくせに丁寧に閉じる音といつもより少し甘めな声で名前を呼ばれたことに嫌な予感がした。
こういうのは基本的に当たるもので言い訳になる言葉を頭の中であれでもない、これでもないと並び替えてはみるもののうまくいかない。
ぐるぐる高速回転で脳をまわしても無意味でそうこうしている内に背中に人の体温と重さがのしかかってきた。
「おーい、無視すんな」
「実況撮り終わったんですね、お疲れ様です」
とりあえず敬語で返事をする。
冷蔵庫から飲み物を取り出そうと冷蔵庫と対面していたわたしにガッチマンは「お願いがあんだけどさ」と切り出した。
これは内容を言われる前にNOを付き付ければ何とか回避出来るのでは?と、わたしにしてはまともな回避案が浮かび上がった。
すかさず「嫌」と一言放って振り向いてニコッと笑うと両頬を掴まれた。
「わかってる顔だな?」
「な、なんのことだかさっぱり」
視線がキョロキョロした時点でもう終わりだった。
近付いてきた顔から逃げようとしたけれど、するっと腰を掴まれてしまいそれは叶わず「ちゃんと目を閉じなさい」と優しく言われれば目を閉じるしか選べるカードはなくなる。
その気にさせるキスは苦手でいつも「もっと舌出して」と言われるのなんてわかってるのになかなか思うように出来なくてその言葉を言われることによってもっと脳が潤ける。
知ってか知らずかその言葉を耳で囁かれる。
……知ってんだろうなあ、と上がる息と体温を感じながらガッチマンを睨み付けた。
「その気んなった?」
何も言わないわたしに「ん〜?」と答えを急かされるもそれでもだんまりを決め込むわたしを見てたガッチマンは腕を組んで「ふむ」と言ってから思いついたように声を上げた。
「そうか」
その言葉に不意にガッチマンを見上げると妖しい目付きになり「あ、これまずい」と思ったけど後の祭りだった。
「強引にして欲しいってことだな?興奮すること言うじゃん」
「何も言ってないよ!?」
ガッチマンは「やっと喋った」と笑うと「きもちい〜ことしよ?」とぎゅうっとハグしてきた。
そんな気じゃなくて拒否の言葉を探していたのにその気にさせらたのだからこれはもうわたしの完敗な気がする。
「強引にする?優しくする?Aに選ばせてあげる」
「……知ってんでしょ?」
まあね、と言いながら差し伸べられた手に手を重ねると嬉しそうに笑ったガッチマンが可愛くて頬が緩んだ。
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luco(プロフ) - かりんさん» かりん様、温かいコメントありがとうございます!gtさんのお話はなかなか慣れないのですが読みたい方がいらっしゃるので今回頑張りました!次回作も最後の方に出すつもりなので楽しみにして下さると嬉しいです! (2019年8月6日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませてもらっていました。gtさん大好きなので今回gtさんのお話が沢山あってとても嬉しかったです!次回作も読ませていただきます! (2019年8月6日 0時) (レス) id: e9726304d4 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - りんご様、完結おめでとうのお言葉ありがとうございます!ドルオタなのでドルパロが大好きなもので.......お褒め下さり嬉しいです!頑張ります! (2019年8月5日 21時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - こんばんは!完結おめでとうございます!ドルパロ良いですね!長編が楽しみです!頑張ってください! (2019年8月5日 21時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - りんごさん» りんご様こんにちは!同担様でしたか!中々同士様がいらっしゃらないので嬉しいです。新作もお読み頂けてありがとうございます(*¨*)例に漏れずドルパロでしたがお褒め下さり嬉しいです。 (2019年7月29日 18時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:luco | 作成日時:2019年5月18日 5時