【実l況l者】きみを振り向かせる正解は【ky】

Snow Whiteを目覚めさせるのは-3- ページ39

文化祭は新学期始まって2週間後の金曜日が校内発表、土曜日が一般公開だった。
校内発表も難なく終わって迎えた土曜日。
本当に来てくれるのか朝からドキドキしていた。
愛菜にだけは来てくれるかもしんないと伝えたら「そう、来るとは思ってたけど」と意味深な笑顔を向けられた。

「えっ、何？」
「べっつに〜、罪な女」

そう言うと鼻をググッと押された。
地味に痛い。
ヒラくんは毎回終わるとキスの時、近くなかった？大丈夫だった？と心配そうに聞いてくるけど目を瞑っているから正直わからない。
大丈夫だよとは答えているけど近くにいるフジくんが「じゃあ、キスしてもわかんないね！」とからかってくるのがお決まりのパターンだった。

最終公演までキヨ先生は見つけられなくてわたしも公演が何回もあるから自由に校内を歩き回れないでいた。
最終公演間近にわたしがそわそわしてるのが気になったのか、愛菜に「暇ならヒロイン自ら看板持って宣伝して来い！」と看板を無理矢理持たされた。
衣装はそのままだし看板持ってるだけでも結構、宣伝になる。
違うクラスの友達からも次最後なの？行こうかな〜と声を掛けられるから「おいでおいで」なんて言って勧誘をしていた。

「随分、ブスな白雪姫歩いてんな」

後ろから声がして反射的に振り返ると口角をあげたキヨ先生と「口悪いで〜」と焦った顔してるレトルト先生が居た。
もう本当に来てくれないと思ってたから飛び跳ねそうな程、嬉しかったのに売り言葉に買い言葉精神な自分はやっぱりまだまだ子供だ。

「これでも可愛いって評判なんですけど？」
「衣装のおかげだろ、バーカ」

ふんっと顔を背けると「……重いだろ」と言って看板を奪い取るように持ってくれた。
優しさにきゅっと涙腺が熱くなる。

「もう教室帰るだけだから……」

そう言うと「ふーん、じゃあ、俺らも行くか」とそのまま看板を持ったまま教室まで着いてきてくれた。
何よりも私服がカッコ良すぎてさっきから動悸がヤバい。
衣装も暑くてすごい汗をかいてるし、こんな所で会うならもっとちゃんと汗とか吹いておけば良かった……！

「A、お前汗やべーけど大丈夫なの？」

急に話しかけられてあたふたしてしまったけどちょうど教室に着いた。

「へーき、へーき！楽しんでってね！」

そう言って看板を受け取って教室内に作った控え室にわたしは入って行った。
何だか少し体調が悪い気がするのはキヨ先生が来てくれた嬉しさから来る鼓動の速さのせいだろう。

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