Snow Whiteを目覚めさせるのは-1- ページ37
夏祭りも終わって夏休みはほぼ毎日塾に通った。
授業も変わらずあったし、1日中、塾に引きこもって勉強をするのが日課になっていた。
その日は午前の小論の授業だけで午後から自習室ブースに入ったけれどほとんど人がいなかった。
休憩がてら望月さんと雑談に付き合って貰った時にそれを話したら隣の市の花火大会あるからかな？と言っていた。
そんなもんか、と思って鞄の中からプリントを出そうとしたらこちらに向かう革靴の音がした。
瞬間、ガンと音がして顔をあげるとブースの向こう側からキヨ先生が顔を出していた。
「よお」と声を掛けられたのに夏祭りの後、初めて会うからか過敏に反応してしまって変な表情になってしまった。
「……んだよ、その顔」
「べ、別に」
ぷいっと顔を背けて俯くと上から感じていた視線が失くなって遠ざかる革靴の音が静かな自習室に響いた。
「あっ……」
何でこんなに可愛くない反応しが出来ないんだろう。
今日は授業はない。
きっと他の生徒の授業で来ていて、望月さんか誰かに聞いてわざわざ来てくれたと言うのに。
キヨ先生の前では素直で可愛くいたいのに、いつも素直じゃないし可愛くない態度ばかり取ってしまう。
イヤホンを取り出して耳に装着しようとした時に、また革靴の音が近付いてきて反射的にブースの向こう側を見たけど誰もいなかった。
空耳かと思ったら隣から「おい」と声がして隣を向くとキヨ先生が立っていて驚いて「うわぁ？！」と声が出てしまった。
しーっと人差し指を唇に当てたキヨ先生は「何かあった？」と眉を下げて優しく聞いてきた。
「本当に何でもないですよ、気にし過ぎ！」とニーッと歯を見せて笑ってみせた。
「夏休みだからってあんま無理すんなよ」
そう言うとコツンと左手の甲で頭を小突いてきた。
じゃあなと言って授業ブースに向かって行ったキヨ先生は涙で霞んで揺れて見えた。
☆
「文化祭あんの？」と聞かれたのは夏休みの最後の授業だった。
「あるに決まってるじゃないですか」
「何やんの？」
「演劇」
「は？ダッサ」
ケタケタと笑うキヨ先生に「わたし主役ですよ」と出された小テストにペンを走らせながら言うとピタッと笑いも動作も止まったキヨ先生が一拍置いて「はぁ？！」と大きな声を出した。
「ちょ、ちょっと声大き……」
「何やんの？演劇」
「白雪姫」
「え、ほんとにダサ、大丈夫？」
「もー、うるさいなー、あ、王子様ヒラくんだよ？見に来る？」
「はぁ？！」
「うるさいってば！！」
Snow Whiteを目覚めさせるのは-2-→←drugみたいな恋心
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - 返信ありがとうございます！まだ占いツクールやってるみたいで嬉しい(？)です。これからも応援しております・・！ (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» お返事遅くなりすみません。コメントありがとうございます！お友達の神絵師に表紙頂いちゃいました…！背景に全ての要素入れて貰ったので併せて見て頂けると嬉しいです。かっこいいヨさん目指してたので伝わってて良かったです。 (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 最初の絵、背景に色々描いてあったけどちゃんと要素入ってたんですね！細かい、、 (10月14日 19時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 見ました・・・泣いちゃった・・・純愛っていいね。キヨさんかっこよすぎるよ、、、 (10月14日 19時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ぎゃっ話まだ見てないけど神絵師様じゃないですか！！ (10月14日 14時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：luco
| 作成日時：2018年9月26日 3時
