【実l況l者】きみを振り向かせる正解は【ky】

誕生石はcarnelian-another1- ページ31

「はるちゃん」

レトさんと授業中のブースへ向かうと後ろから声を掛けた。
レトさんがはるちゃん、はるちゃんってうっせーから名字も知らんしはるちゃんと呼ぶしか出来ねえのに隣に座ってるレトさんに怪訝な表情をされた。

「あれ？キヨせんせー、Aちゃん今日来るの？」

振り返ったはるちゃんはキョトンとした顔で俺を見上げていた。

「いや、今日は違う生徒だけど……」
「何か用？」

はるちゃんが言わんとしていたことを遮って少し機嫌の悪いレトさんが俺に聞いてきた。

「昨日、Aが不良に絡まれてちょっと危なかったから授業被る日あったらなるべく一緒に帰ってやって」

そう頼むとレトさんとはるちゃんは目を見開いて驚いた顔をしていた。
その後、レトさんはニヤニヤしていて、はるちゃんには質問攻めにされた。

「好き」と自覚するということは怖いものだ。
今まで「生徒」として相対してきた相手が「好きな子」に変わる。
俺は、4つも下の女子高生相手に散々振り回された。

知らん男と連絡取り合った日に限って授業が絶好調だったり、中間テストいい点取れたから質問してもいい？と可愛いお願いしてきたくせに、その顔は刹那を帯びていたり、相変わらず短いスカートで足を組み直したり……

「もう……限界」

更衣室で頭を抱えていた俺にネクタイを結び直していたレトさんは「やっぱ好きなんだ？」と口角をあげ聞いてきた。

「うっせー、今更だわ」
「高校生は無自覚で怖い、よな？」

眉を下げたレトさんにぶんぶんと首ごと頭を縦に振ると「ま、がんばり」と更衣室から出て行ったレトさんを見送る。

その言葉に鞄に無造作に詰め込んだ包袋を見つめてからブースへ向かって授業準備をし始めることにした。

暫くした後、

「じゃーん」
「……は？」

夏服に衣替えしたAが髪を結って両手を広げていた。
髪、伸びたなとは思っていたけど、いや、待て待てマテ茶。
普通にすっげぇ可愛い。
固まったままAを見ていたら「何？何か言ってよ」と肩を小突かれた。

「何で髪結んでんの？」
「そっち？」
「あと、何があんだよ」
「夏服ー！可愛いでしょ？」

夏服より髪が可愛いけど、な。

「あーはいはい、かわいいかわいい」

適当にあしらうとギャーギャー何やら騒いでるAをよそにその髪の結び目にあるシュシュっつーんだっけ？
それが気になった。

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