Boyfriendって訳でもねぇんだろ? ページ18
ヒラくんは律儀にも「ここからだとチャリで大体30分くらいですけど……」と答えていた。
背の高いキヨ先生が間に割って入ってきたせいでヒラくんの顔もキヨ先生の顔もよく見えない。
「ちょっと、キヨ先生」と背中をポンポン叩いても動く気配がない。
「夜も遅いし早いとこ帰んな」
「あ、いや、でも僕の家、親も遅いし良かったらAちゃんのこと送ろうかなって」
かろうじて聞き取れる言葉に胸が温かくなった。
ヒラくんて何て優しいんだろう……。
「先生ったって、家まではさすがに送らないでしょ?」
ん?何かちょっと含み笑いがあるかのようなヒラくんの声は初めて聞いた。
何となく、挑発?してるような?
いや、まさかね。
そう思ってたらキヨ先生の大きな溜息が聞こえた。
「あのね、高校生は23時以降保護者がいても出歩くのは条例で禁止されてんの」
自分のスマホを取り出して時刻を確認すると22時を少し過ぎたあたりだった。
塾で夜の時間を注意されてるからその話は耳にタコが出来るくらい聞いていた。
「ここからコイツの家まではちょうど1時間程度、そこから君が家まで帰るとなると普通に23時越えるだろ?」
「はあ、まあ、そうですけど」
「俺はただのバイトの塾講だけどさ、条例違反を犯すのをみすみす逃すような奴ではないんでね」
キヨ先生らしいところあるな、と思った。
ヤンキーみたいな格好だしふざけてる所もあるけれど、やっぱり根は真面目な所が隠せてなくて、そんなとこが好きなとこでもあって自然に頬が緩んだ。
「……それに、−−−って訳でも−−−−ろ?」
何かをヒラくんに言ったようだったけど、そこは聞こえなくて「帰ります」と言ったヒラくんに気付いてキヨ先生の隣に身体を乗り出した。
「あ、ヒラくん!これありがとう!気を付けてね!」
そう言うと自転車を漕ぎだそうとしていたヒラくんは足を止めて少し困ったような笑みを浮かべた。
「お誕生日おめでとう、Aちゃん、また明日ね」
ひらひらと手を振ってから、帰ってしまった。
わたしはひらひらと手を振り返してから隣のキヨ先生をちらと見上げると、キヨ先生もわたしを見下ろしていて目が合ってしまった。
ドキッとなって、目を逸らした。
「おい」
「何ですか?」
「この前のLINE、あいつじゃねえの?」
この前……?
あー、誰かさんのせいで落ち込んでた時にヒラくんがくれたLINEか。
「そうだけど?」
言いかけた言葉が詰まったのは突然腕を掴まれたからだった。
感情のhide and seek→←誕生石はcarnelian-3-
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なみの - 返信ありがとうございます!まだ占いツクールやってるみたいで嬉しい(?)です。これからも応援しております・・! (11月5日 13時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» お返事遅くなりすみません。コメントありがとうございます!お友達の神絵師に表紙頂いちゃいました…!背景に全ての要素入れて貰ったので併せて見て頂けると嬉しいです。かっこいいヨさん目指してたので伝わってて良かったです。 (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 最初の絵、背景に色々描いてあったけどちゃんと要素入ってたんですね!細かい、、 (10月14日 19時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 見ました・・・泣いちゃった・・・純愛っていいね。キヨさんかっこよすぎるよ、、、 (10月14日 19時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ぎゃっ話まだ見てないけど神絵師様じゃないですか!! (10月14日 14時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:luco | 作成日時:2018年9月26日 3時