瞳のスパンコール/uszw ページ13
「さむい」
その日は雪が降っていた。
相変わらず太ももを露にしているスカートをはいてるAは目に毒だと思うのと同時にカチンときて、悪態をつく。
他の男の目にも入るじゃねーか。
「前から思ってたけど、スカートが短すぎじゃない？よくそんな足出して恥ずかしくないよね？」
「……は？」
「おー、こわ」
でも、ラッキーなことにこの日のAはコートしか着ていなく、マフラーをしていなかった。
俺は鞄の中にしまっていたマフラーに神経を張り巡らせる。
「うっしーだって寒そうじゃん！」
「俺にはマフラーありますし？」
普通の顔をしてマフラーを話題に出しAの前にマフラーをチラつかせる。
「え、かわいー！！」
案の定、マフラーを気に入ってくれたみたいだった。
「だろ〜？この前、雑貨屋で見つけた」
「へえ、かわいいね、センスいいじゃん」
と、マフラーを見てから俺の方に顔を近づける。
何なのコイツ誰にでもこの距離感なわけ？
「な……！お前ちけえよ」
俺は顔に熱が集まったのを悟られないように、あくまで自然かのように、押し退ける。
「ごめん、ごめん」
俺は焦ってることがばれないよう、本音に近い軽口を叩いてごまかした。
「な、何でお前はマフラーさえも持ってねえの？大体、毎回俺が注意してんのにスカートが短すぎんだよ！！」
「いきなり何？前から言ってるけど、これはもう20cmくらい切ってあるから長くしたくても出来ないの！！」
「この、不良娘」
「なにを？！」
開場を待ってる間にベンチに座っていた。
館内に暖房はついていたが、扉の隙間からの風がなかなかに寒い。
「うっしー、さむい。」
「俺がスベったみたいな言い方やめろ」
「あはは、ウケる」
「ウケねーわ」
2人で軽口を叩いて笑い合う。
俺はこの時間が大好きだった。
俺は意を決してAの腕を掴む。
「どうしたの？」
「……いや、まださむい？」
「え、う、うん、まあ……」
俺は毎回言おうとして言えなくて結局軽口を叩く行為を何度もしてきたから、わかっていた。
こういう時、必ずAの瞳が揺れる。
キレイだな、と素直に思った。
「え、ちょ、ちょっとまたー？ふざけてんの？」
Aは俺から目をそらして腕を揺らした。
いつものように出かかった軽口を抑えてマフラーに頼ることにした。
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメントありがとうございます！初期の方の作品にコメントついてて驚きましたがありがたいお言葉でお褒め頂き恐縮です。題名回収に執念燃やしてますので嬉しいです！私もこういう青春送りたかったですので幻覚楽しんで頂けて良かったです。 (2021年8月3日 1時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - レパートリーも豊富で、どの内容もキュンキュンしました。こういう青春が送りたかったなぁと思っちゃいましたw 言葉選びと題名回収も凄く素敵でした。 (2021年8月1日 10時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆうかさん» コメントありがとうございます！とても素敵なお言葉頂戴して、とても感激しております！！しかも全部読んで頂いたのですか！？とても嬉しいです。創作の励みになるお言葉ありがとうございます！！これからも頑張ります！ (2018年7月3日 12時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - lucoさんの作品は本当に綺麗で、つい1日で全部の作品を読みふけってしまいました！これからも応援してます！頑張ってください！ (2018年7月3日 12時) (レス) id: db13eb2780 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - しろみやさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです！創作の励みになります。これからも更新がんばりますね！ (2018年6月16日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2018年6月8日 13時
