追憶。【センラ】 (ページ5)

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『…ん…ぅ』

目が覚めた。
あれ、私いつの間に寝てたの。
ぼやけた視界は明るくて、なんだか体がふわふわして暖かいものに包まれていた。

『え、』

寝惚けた脳が覚醒したとき、一気に目に写り混んできたもの全てに覚えがなかった。
真横の違和感に、寝ていた体を反転して私は悲鳴をあげそうになった。

…お、男の人が、寝てる…？

私の隣で、まるで添うようにして寝ていた人がいた。なんかこの人、見覚えがあるような…

整った寝顔はまだ起きることを知らず、美形だなあとまじまじ見つめてしまった。

私とこの人…が寝ていたのは白いシーツが敷かれた大きめのベッドで、普段泥のように眠る自宅のマットより何倍も、ふかふかだった。

まさか、ホテル、とかないよね…
じゃあここは何処なんだと問いたいのに生憎すやすやとお眠りの人を起こすほど腐ってはいないので、とりあえずベッドから降りる。

部屋は、寝室と言うには広いかも知れないが、ドカンとベッドがあるくらいで質素にも感じた。

…というか私の荷物もない。あれには仕事の資料が詰まっているからとても大事なんですけど。
そこで、仕事行かないと、なんていつもの社会人特有の感覚が戻ったけど、そういえば日曜日だと思い出してほっとした。