【幕末Rock】もう一度、ここから始めよう。【桂小五郎】

第十一話 ページ12

手術が決定したと共に、入院することになった小五郎。

入院してからはずーっと、検査が続いていた。

何処かに外出して、外の空気を吸わせてあげたいなーなんて、考えてたある日。

桂「A、外出許可が降りました!!」

嬉しそうに報告してくれた。

貴「本当!?じゃあさ、どこ行きたい?」

桂「Aが行きたいところがいいです。」

きっぱりと断言。

貴「え、えぇ!?」

小五郎の行きたい場所に、行きたいんだけどなあ…

桂「私の行きたいところに行きたいというのは、却下です。」

うっ………先回りされた!!!

有無を言わさずってオーラ出まくってるし――……

けど、思い付かないしな…


……思い付かないなら、いっそ―……

貴「決めた!」

桂「どこに行きたいですか?」

貴「歩き回って、そのとき行きたいと思った場所に行く!」

決めずに歩き回って、気持ちの向くままに行けばいい!!

桂「ははっ、面白そうですね!」

貴「じゃあ、行こうか!」






病院の外に出て、しばらくうろつく。

こうやってただ町を歩くことさえ、幸せに思える。

小五郎も、そう思ってくれてるかな。



貴「あ、あそこ…小さな草原がある。」

桂「少し、休憩しますか。」

貴「うん!」


その草原は、家族連れがたくさんいて、子供たちが元気に走り回っていた。

貴「いいね、この場所。穏やかで、あったかくて。」


爽やかな風が、頬をすり抜けてゆく。


貴「ね、小五郎。―――小五郎?」

返事がないので横を向くと、規則的な呼吸をして眠る彼の姿があった。

その寝顔は、まるで子供のよう。

あどけない寝顔に、微笑みがこぼれる。



ずっと、この幸せな時間が続けばいいのに―――。

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