第26話 ページ13
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またいつもと同じ朝が来て、重いまぶたをこじ開けてベッドから這い出る。
昨日の夜はなかなか寝付けなかったけれど、朝方になり浅い眠りに入り、ろくに寝れもしないままだ。
洗面台で顔を洗って鏡を見ると、目の下にはっきりとクマをこしらえた自分の顔が映った。
心なしか、目も腫れぼったい。
「顔ヒド。」
冷たい水でなんとかシャキッとさせて、朝ごはんを食べるべくリビングへと移動した。
「おはよ〜」
「ゆりおはよ…あんたクマひどいな?」
「わかってる〜…」
母親にもびっくりされてしまった。
もそもそと朝食のパンを頬張ったら、メイクでどうにか目もとをごまかして家を出た。
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「制作陣〜ミーティングすんでー。」
出社して、いつもの淳太さんのゆるい掛け声とともにミーティングルームに集まっていく。
わたしの顔をみた淳太さんにギョッとされたが、次の言葉の予想はついている。
「おうゆりちゃん、クマやっばいで」
「……それ、もういいです」
「そんな景気悪い顔してへんとー。
今日はようやく“mean”の発売日やろ?」
「…急にお腹痛くなってきた」
いよいよ今日、わたしが一から携わった西緋のコスメブランド、meanが発売になる。
自分の作った制作物が世に出ていく瞬間はつも緊張するが、一からデザインを手がけた新商品の発売ともなればその近著もひとしおである。
「楽しみやんか。
午後から記念イベント行くんやろ?しっかり見届けてきいや!」
「…ハイ!」
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午後3時、桐山さんとともにイベント会場に出向く。
会場となる専門店の一角に、“新発売”の立て看板を発見した。
「おっ、あれやな!」
「あ…ひと!いるいる!」
会場内ではサンプル体験ブースや、肌年齢チェックブースが設置されていて、通りすがりの人たちが何人もそこへ吸い込まれていく。
「お!あのポスターゆりちゃんが作ったやつやな!」
「ほんとだ!あっちのPOPは、しげちゃん廉くんと夜なべして作業したやつ…!」
数々のクリエイティブに彩られて、什器に商品が陳列されている。
「これが、“mean”の製品…」
美容液やシートパックのパッケージを手に取ると、金色で箔押しされたロゴがきらりと光る。
ようやく会えた。そんな気持ちがした。
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Lucio(プロフ) - かみやまつしま♪さん» キュンキュンしていただけてましたでしょうか!甘いお話を書くのが苦手なので良かったです;;;嬉しいお声ありがとうございます、最後までどうぞお付き合いください! (2019年8月12日 22時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
かみやまつしま♪(プロフ) - 大丈夫です!ありがとうございます!キュンキュン、最近はちょっとハラハラしながら楽しませてもらってます!自分の知らないお仕事の裏側も見えて、すごいなって思っています! (2019年8月11日 15時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
Lucio(プロフ) - かみやまつしま♪さん» いつもお読みいただきありがとうございます!!名前変換ができてなくて、大変しつれいしました;;;修正しましたので、どうぞ変換しておたのしみください!教えていただいてありがとうございました!!!なにか不具合があればいつでもいおっしゃってください;;; (2019年8月10日 12時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
かみやまつしま♪(プロフ) - 移行おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます!名前の変換ができないのですが、どうしたらいいでしょうか? (2019年8月10日 12時) (レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年8月9日 23時