第16話 ページ5
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突貫工事で始まった「アルコイーリス」の記念広告も、ようやく佳境となってきた。
小瀧さんから送られてきた修正指示をデザインに落とし込んで、最終的に誤字・脱字などがないか、第三者の目でチェックしてもらう。
「せんぱい、文字校チェック終わりました」
「ありがと廉くん。なんもなかった？」
「ここ、表現合わせません？」
紙面の中に「肌」と「お肌」という表現が混在していて、表記の揺れを指摘する廉くん。
「あー、どっちかに統一するかな。先方にきいてみる」
＿＿ピンポーーン…
確認のため、小瀧さんに電話をかけようとしたところで、来訪を知らせるインターホンが鳴った。
今井様が受話器をとって対応する。
「＿＿あら！お世話になります！
はい！少々お待ちください
…ゆりちゃん！お客様。」
「わたし？」
今日、アポなんてあっただろうか。
廉くんにちょっと待っててと断って席を立つ。
制作室を出て正面玄関に向かうと、そこに立っていたのは。
「え！小瀧さん？」
まさに、今しがた電話をかけようとしていたその人だ。
「梁さん、こんにちは」
「お世話になります…どうされました？」
「すんません急に来て。これ差し入れです。皆さんでどうぞ」
「えー！ありがとうございます」
小瀧さんから差し出された、この辺りで有名なたい焼き屋さんの紙袋。
スタイリッシュな彼の容貌と、たい焼き屋のレトロなプリントがなんともミスマッチだ。
ていうか、わたし今日の格好大丈夫か？
社外の人と会う時は、わりかしきちんとした格好をするようにはしているが、
なんの予定もなかった今日はかなり適当だ。
ボーダーのロンTを腕まくりして、コットンのゆるいパンツをはいている。
髪も適当だし、メイクなんてほぼすっぴんだ。
どうしよう。ダッシュで逃げたい。
「梁さん、今日は雰囲気違いますね」
ヒィィ！ばれた！
「や、これはその、たまたま今朝時間なくて、」
腕で顔を隠すようにガードすると、ガードの下から覗き込まれた。
端正な顔立ちを視界いっぱいに突きつけられて、目が離せない。
いじわるを思いついた男の子みたいな笑みをうかべている。
「いつもより、素っぽくてかわいいす」
そんなこと言って笑うあなたのほうがよっぽどかわいい！
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます！応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (
レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです！ 応援してます！ (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年7月8日 18時
