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「わたしは…先に出会ったほう。」
「…えぇ〜？」
枝豆のさやをむいむいと押しながら答えたわたしの回答に、ふたりやや不満げだ。
面白みがなくてすみませんね…
「梁さん、こだわりとか無いタイプ？」
田村さんがマドラーでレモンサワーをぐるぐるとかきまぜて言う。
「うーん、ていうか…選べないですもん。」
あ、占いで相性が良い方、とかでもいいかな。
すると、今井様がわかった！なんて言ってジョッキをドンッとテーブルに置く。
店員さんびっくりしてますよ。
「きっとゆりちゃんってー、運命に弱いタイプなんだよ」
「え、どういうことですかー？」
「ロマンチックな関係性に弱いんだよ！
偶然の出逢い♡とか、運命の再会♡とか」
今井様は、ほんと恋バナになると乙女になるよなあ…
可愛いんだけどね。うらやましいや。
「あーね。取引先の担当者との恋♡ってのもいいわよね！」
田村さんが乗っかると、今井様が不思議そうな顔をする。
「なにそれ？妙に具体的じゃーん」
「ふふふ、うちの小瀧くん！」
ぶは！
びっくりして思わず口につけていたビールをこぼしそうになる。
「えー！ゆりちゃん、小瀧さんとそんな事になってんのー？」
「な、なってないです！そんな事には！」
田村さんなんか誤解してないですかー！？
「小瀧くん面白いわよー。
私が「梁さんがいらっしゃいましたー」って呼ぶと、シッポぶんぶん振ってロビーまで出迎えにくるの。
で、お見送りのときは耳とシッポがしゅーーんて垂れてるの！」
「やだ可愛いー！えっ、子犬なの？」
今井様、だいたいあってます。
「それがもうーおっかしくて！受付じゃ何気に名物になってるわよー？」
「もう…なに楽しんでんですかぁ受付の皆さま…」
完全に面白がってる田村さんに、少々げんなり。
盛り上がる会話と裏腹に、デーブルの上の料理が冷めていく。
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
