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撮影二日めの今日はCM撮りや。
CM制作を担当する部署と、制作会社さんと組んでの撮影。
課長が「勉強してきぃや！！」なんて言うから、どんな現場だろうかと緊張していたけど、
プロダクションの人も制作会社の人もいい人たちばかりでちょっと安心した。
なかでも印象が違ったのは、タレント本人。
「お！望や〜おはよう〜〜」
昨日のスチル撮影で初めてあったばかりなのに、なぜかファーストネームで呼ばれとる。
「懐かれた」そんな表現がしっくりくる。
「藤井さん、よろしくっす〜」
「なんやの〜流星でええって。」
その藤井さんは、今度は俺の周りにキョロキョロと視線を巡らせている。
「あれ、めだk…デザイナーさんは今日は来てへんの？」
撮影衣装の上にロングカーディガンを来て、ポケットに両手を突っ込んでいる。
「ああ…Jワークスの梁さんですね。
スチルのみの立ち会いやったんで、今日は来てないっすよ」
「ええー！なんやつまらんー」
そんなん昨日言うてへんかったやんー、と、ここにいない梁さんへのクレームを口にする、その人。
昨日、制作陣のミーティングの合間にひと絡みあったっぽかったけど、
そんなに打ち解けたんかな…？
“藤井さーん、ではリハからお願いしまーーす”
「ほーい」
ゆるい返事とともにセットへ入っていった。
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つまらん、なんて言いつつも、さすがはプロ。当然仕事はきっちりやる。
ハウススタジオのセットの中で、カメラに向かって台本のセリフを繰り出す藤井流星。
椅子の背もたれに頬杖をついて、こてんと頭をかたむけてあざとい表情付きだ。
＿＿＿“悩んでる？僕に言ってみて？”
＿＿＿“おいで。お肌、ケアしよ。”
「かっこい 〜〜…」
「あまーい……」
凄い。女性スタッフがみんな目をハートにしとる。
まあ、たしかにカッコいいとは思うけども。
「こーれーは全女性惚れるわよねぇ」
……梁さん今日きてなくてよかった！！！
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無事全カット撮り終わり、スタッフさんや制作会社さんと挨拶をかわす。
現場は勉強になることがたくさんあって、今までにない経験ができた。
ワンアップやで、俺！
「おつかれ望ー」
「藤井さんおつかれっした！」
「なんや硬いなあ…
まあええか、よろしくやで、担当さん〜」
そう言ってスタジオを出て行く背中を見送った。
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
