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最後のカットも滞りなく撮り終わり、最後のチェック。
「デザイナーさん、どう思う？」
なんて、フォトグラファーさんにコメントを求められて、OKじゃないはずがない。
あんまり目立つこと言わないで…！
「や！ほんともう、完璧だと思います！！」
スタジオは撤収となり、スタジオスタッフさんで片付けをする。
プロダクションと西緋のみなさんは、明日のCM撮影のことで話があるからと別室に入っていった。
ボトルなど、西緋支給の小道具の片付けを一人でしていると、また背後から声をかけられる。
「ねえ、ちょっと」
さっきのメイクさんんだ
「どういうつもり？今日ずっと出張ってきて。」
やっぱり、撮影中のわたしのことが気に入らなかったんだろう。
そんなん言われたって、何かあったら後でリタッチするの、うちらデザイナーだし…
「さっきも、カメラマンから OK求められちゃって。
なんなの？うちらメイクの仕事の粗探ししてんの？」
「…すいません、そんなつもりでは…」
いや、そもそも、お互いのこと補完し合って仕事ってするもんじゃないの。
なんてことは言えるはずない。ぐっとこらえたわたしを、だれか褒めて欲しいくらいだ。
ああ、いよいよヤバい。
「なーーにデザイナーさん詰めてんの？春日ちゃん？」
そこへ聞こえてきた、毒気の抜ける、特徴的なバリトン。
藤井さんだ。
「…流星！
べ、べつに、詰め寄ってなんかないから……！」
そう言って春日ちゃんと呼ばれたメイクさんは、気まずそうに控え室の方へと消えていった。
「…ありがとう、ございます？」
助けてもらった形になったので、お礼を述べておく。
「んー。
マネージャーら、話なっがいねんー。今何時？」
藤井さんはもう気にしていないようで、
時間を聞いてきたのでわたしのスマホの 待ち受け画面を表示してみせた。
時刻は午後5時を少し過ぎたところだ。
「あ！」
急に声を上げる藤井さん。
なに？
「スマホ探しにきたんやった！
デザイナーさん、探すん手伝って！」
「…えぇー」
「俺すーぐ無くすねん〜
なあ電話鳴らして！」
自分ですぐなくすって分かってて…ちょっと抜けてんのかな…
番号を唱えはじめるので、あわててキーパッドを入力する
Prrr...
「おぉ！あった〜〜」
藤井さんが、撮影で着ていたカーディガンのポケットから、音を立てるスマホを取り出した。
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
