第9話 ページ27
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「おはようございます、梁です
meanボトルの初校を今送りましたので、よろしくお願いします」
翌日、朝イチでメールを送って小瀧さんに電話をかける。
“ありがとうございます!確認させてもらいます。
あと、あのー梁さん、明日の撮影なんですけど”
「あ、ハイ。13時にうかがいますね」
明日はタレントのスチル撮影。
西緋さんの近くのスタジオで撮影があるので、ロビーで待ち合わせしてからスタジオに行く予定にしていた。
“せっかくなんで…どっかでメシ食べていきませんか?”
「あ、いいですね!」
やった!なんて声が受話器の向こうから聴こえて、目をキラキラさせる小瀧さんの顔が思い浮かぶ。
食事の時間を逆算して、待ち合わせの時間を早めた。
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翌日
「こんにちわー。Jワークスですー。」
いつもの受付に顔を出すと、すぐに内線で小瀧さんを呼んでくれた。
「梁さん、すこしお待ちくださいね。」
「ハイっ。田村さん、今日のネイルすてき」
「ほんと?ありがとう〜
梁さんはしないんですか?」
「あぁ…キーボードに爪が当たるのが気になっちゃってあんまり…」
女子力よりも作業効率を優先させている自分に、またすこし悲しくなった。
しばらく受付のお姉さんとおしゃべりをしていると、
「あ、…フフフ、来た来た」
田村さんがそう言って視線の方向を見ると、待ち合わせの人物が跳ねるようにしてこちらへ駆け寄ってきた。
「梁さん!お待たせしましたー!」
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小瀧さんの案内で連れてきてもらったのは、スーツを着たサラリーマンでいっぱいの蕎麦屋さん。
ここのスープカレーが絶品だというのだ。
「お待ちどうさま〜」
「わー、いただきます」
注文したものが運ばれてきて、美味しそうなにおいに自然と頬が緩む。
スプーンですくいあげて一口頬張ると、スパイスの香りと野菜の甘みがぶわっと口に広がった。
「ん!おいし〜〜〜…!」
「でしょ!?営業んとき見つけて、それからハマっとるんすよ」
「野菜あまーい。お出汁やさっし〜〜」
夢中で頬張っていると、向かい側から視線を感じたので顔をあげると、小瀧さんと目が合った。
水分多めの黒目を細めて、ニコニコうれしそうにしてる。
「うん。ふふふ、うまいすね」
そう言った小瀧さんの手が、こちらに伸びてきて、ひゅっと心臓が跳ねる。
「…!」
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年6月9日 14時