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「あ！“通りもん”。美味しいですよねー
福岡まで行ったんですか？」
お土産のラッピングをはがしながらゆりちゃんが言う。
「おん。資材メーカーとか原料メーカーって、たいがい地方にあんねん。
ほんで今の部署って出張多くてなー」
この度の出張は、化粧水の容器メーカーの工場視察が目的。
出張というと、そのほかにも原料メーカーの展示会や、製品の初回製造時には立ち会ったりもする。
「ゆりちゃんはどおー？
望が迷惑かけてへん？」
「あはっ、沖田さんと同じこと言ってる。
なかなか順調なんじゃないですかね？今度、タレント撮影の立ち会いに行くんです」
「そうなんや！結局、新しいイリスくんは藤井流星に決まったん？」
俺がマーケを離れる直前まで新しく起用するタレントでごたごたしとった。
ようやく決まったんやなー
「そうですそうです。ほら、この人」
ゆりちゃんがPCのモニターをこっちに向けて画面を見せる。
小望から送られてきたという、ポスターか何かのラフだろう。
ダミーのタレント写真と文字がレイアウトされている。
「へー。望、こんなちゃんとしたラフ書くんや」
「濱田さんが感覚的すぎるんですよ」
たしかに、俺の時は紙面のイメージと素材だけ持っていって口頭でデザイナーさんに説明することが多かった。
しかし、仮で入れられたキャッチコピーには“毛穴ノンノン！(仮)”なんて書かれとるけど…
「のんちゃんだけに？」
「ダジャレやんけ」
「スベってんでw」
「関西人きびしいなあ…」
淳太と照史が順番にツッコミをいれる。
ゆりちゃんだけは、同情を見せていた。
「まあまあまあー、広告ってねー？こんなベタベタなんが良かったりするしねー」
まあ望がしっかり仕事やれとるって分かってよかったわ。
「ほんじゃ、会社戻るわ」
出してもらったお茶でお菓子を流し込んで言った。
脱いでいたスーツの上着を腕にひっかけて、カバンを持つ。
「なんやーほんまにお土産持ってきただけかいな」
「濱田さん、ありがとうございました」
「おう、みんなまたな！」
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
