Prologue ページ1
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デザインの専門学生だったころの夢。
グラフィックデザイナーとして就職したら
オシャレなオフィスでバリバリ仕事して。
大きな仕事いくつもこなして、
誰もに認知されるようなデザインをたくさん生み出すんだ。
そんなことをあたりまえに想像してた。
でも今は、
そんな華々しい仕事ばかりじゃないって
身にしみて知った。
オシャレなオフィス？
仕事こなす？
いやー、なんがなんが。
見てよこの職場環境。
どれだけ毎日がドタバタか。
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「ゆりちゃーん、この折り込みチラシ3案、来週までな〜」
「かしこまりですが死んじゃいます！」
「あ、Nレーベルさんの歌詞カードも来週までやんな？」
「なんで今思い出すんですかそれ〜〜(T-T)」
「照史鬼やなー」
「同情するなら手伝ってくださいよお淳太さん！」
「じゃ俺は取引先の接待やから！」
「ずるい照史！俺も美味しいもんたべたい！！」
「はいゆりちゃんもしげも手ぇ動かすー」
「メシーーー！！！」
「帰りたいよおお」
「アリナミンじゃもう効かへんーー！！！」
「わぁん小指つったああああ」
・
激務に揉まれる波間で、ふと思う。
私の仕事って、どれだけ世の中のためになってるんだろう？
私の仕事を、どれだけの人が目にとめてくれるんだろう？
医者や警察官みたいに、 誰もが必要としてる仕事ってわけじゃない。
アスリートや芸能人みたいに、あこがれの眼差しを向けられるでもない。
自分は“それなり”だ。
・
＿＿“夢に向かってはしるんだ どんな辛いことがあっても”
歌詞カードに打ち込むテキストは、リアリティがない。
ロックバンドは応援ソングしかうたわない。
それなりなわたしの、背中押してくれるひとはいないものか。
・
なんで、こんな“それなり”の人物が小説の主人公になってるか？
そんなの、書いてる人の気が知れないね。
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
