ユメ4 ページ6
Aside
「鬼ごっこしよ!!」
ここほど鬼ごっこに向いている場所はないだろう。
とても大きいのに人がいないんだもん。
鬼ごっこも隠れんぼも、何だって出来る。
2人しかいないのに、広すぎるから、困らない。
「私が鬼!3分数えるから、隠れてね!」
館が本当に広いので、隠れる時間は長め、3分に設定した。
隠れる場所はたんまりあるだろう。そもそも端まで巡れる気がしない。
悩んだ末、私は適当に入った部屋のクローゼットに入った。うん、丁度3分くらい。
すると、直ぐにコツコツと此方へ向かう足音が聞こえた。
早くない?!と驚いたけど、納得した。あの子はそういうところがある。
ちょっとドジで、面倒臭がり屋。
ふふ、と笑ってしまった。
でも、あることに気づいて口角が引き攣る。
コツコツ...?そんな訳ない、だって私達はどちらも普通の児童用の靴を履いていて、走ったりしないと音が鳴らない。コツコツなんて、絶対有り得ない。
じゃあ誰なの...?
この館の外観を見た時にも勝る恐怖が、じわじわと私を蝕んでいった。
この家の持ち主が、実はいたとか?長い旅行から帰って来たとか?
でも、確かにそうだ。
ここのシャンデリア。本物のろうそくが立っていた。電気とかじゃなく、火を灯すタイプ。
つまり定期的に変えなきゃいけない。
そんな必死な思考を嘲笑うように、部屋のドアがガチャリと開いた。
息を潜めて、動かないように固まる。
迷いことなく大きくなる足音。目の前でピタリと止まった。
ゆっくりと開かれた扉。
「「____________」」
今覚えば、あのとき開かれたものは扉だけじゃなかったのだろう。
私は変わってしまった。
______何かに取り憑かれたように。
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作者名:蟻巣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/cjs146406/
作成日時:2019年10月31日 23時