その館、入るべからず (ページ5)

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ユメ3 ページ5

Aside
『「わぁ...！」』

外がぼろ...いや、少し壊れて見えるのに反して、中はとても美しかった。

ステンドグラスで彩られた天井から、無数のシャンデリアが吊り下げられ、広いホールを照らしていた。
線対称の階段が緩いカーブを描き導く2回に、沢山のドアがあって、部屋の多さを示していた。

装飾は美しいしとても広いのに...
かぼちゃ？顔があるからジャック・オ・ランタンか、が散乱していて残念。
可愛いんだけど...きちんと飾ってあるのではなく、放り出されている感じ。

「あのかぼちゃ、だるまさんがころんだしてるみたいだねー」

...え？そうか。
彼女はこうだ。普段天然だけど、稀に的を得た発言をすることがある。

真逆、あのかぼちゃが動いてた...？私達が来たから、急いで止まった...？そんな。

でもこんな場所にある館だしな...ありそう。とてもあるある。

「動くのかな？可愛いね～」

そう言いながらつんつんとかぼちゃを突く彼女。

よく見るとそれぞれ微妙に顔が違くて、被ってない。
怒ってたり、悲しげだったり、少しむかつく感じの表情のもいるけど、それがまた可愛くて。

ただの野菜に愛嬌を感じた私も、そのオレンジの肌をそっと撫でた。